
こんにちは。レザーソールズ:ローファー・革靴・スリッポン選び方ガイドです。
SNSやストリートで見かけない日はないほど大人気のUGG Tazzですが、いざ履いてみると歩くたびにかかとが抜けてしまったり、脱げる感覚に悩まされている方は意外と多いのではないでしょうか。
実はこのモデル、一見すると普通のスリッポンのように見えますが、その独特な厚底デザインゆえにサイズ選びや歩き方に少しコツが必要な靴なんです。
せっかく手に入れた可愛いシューズですから、ストレスなく快適に履きこなしたいですよね。
この記事では、なぜTazzは脱げやすいのかという構造的な理由から、23.5cmなど難しいサイズの方へのアドバイス、そして今すぐできる効果的な脱げ防止対策まで、私自身の経験も交えながら詳しくお話ししていきます。
UGG Tazzが脱げる原因とサイズ感の真実

UGG Tazzは単なる防寒用スリッパではなく、ファッションアイコンとして確立されたアイテムですが、そのデザインには「脱げやすさ」と隣り合わせの構造的な特徴が隠されています。
ここでは、なぜ多くの方がこの問題に直面するのか、そのメカニズムとサイズ選びの落とし穴について詳しく解説していきます。
UGG Tazzのサイズ感と特徴
まず、私たちが直面している問題の根本を理解するために、Tazzというプロダクトが持つ物理的な特性と構造を詳しく解剖してみましょう。
このモデルは、靴の分類上「ミュール」や「クロッグ」と呼ばれるカテゴリに属します。これらは基本的にかかとを覆う部分(ヒールカウンター)が存在しないか、あるいは極端に低く設計されているのが特徴です。
Tazzの場合、かかとの立ち上がりはありますが、それは足を強固に固定するほどの高さや硬さを持っていません。
さらに注目すべきは、履き口をぐるりと囲む象徴的な刺繍デザイン「UGGbraid(タスマンブレイド)」です。
この美しい装飾はポリエステル製のリボンで編み込まれており、デザインのアクセントになっている一方で、伸縮性がほとんどゼロという物理的な性質を持っています。
サイドゴアブーツやスニーカーのように、履き口がゴムで伸び縮みして足首を優しくホールドしてくれる機能は、残念ながらこの靴には備わっていません。
この「伸縮性のない履き口」と「低いかかと」という組み合わせが意味することは何でしょうか。それは、Tazzを足に繋ぎ止めている生命線が、実質的に「甲部分(インステップ)のフィット感」ただ一点のみであるという事実です。
靴紐(シューレース)もなければ、調整用のストラップもありません。つまり、甲部分の空間と自分の足の体積がパズルのピースのようにカチッとはまっていなければ、物理的に脱げを防ぐ術がなくなってしまうのです。
多くの人が感じる「脱げそう」という不安感は、この一点支持の構造に起因しています。
ここがポイント
Tazzは構造上、かかとの「引っかかり」に頼ることができません。
甲の押さえだけで靴全体を持ち上げる設計になっているため、甲部分に少しでも隙間があれば、歩行のたびに靴が足から離れようとします。
また、内側に敷き詰められた「UGGplush™(アップサイクルウールとリヨセルの混合素材)」やシープスキンの存在も忘れてはいけません。
新品の状態では、この毛足(パイル)が10mmほどの厚みを持っており、足を入れるとふかふかで窮屈にさえ感じることがあります。しかし、この素材は体重と体温によって、着用開始から数週間で劇的に圧縮されます。
つまり、購入時の「きつさ」は一時的なものであり、時間の経過とともに靴内部の空間(容積)は確実に広がっていくのです。
この「初期のフィット感」と「馴染んだ後の緩さ」のギャップが、サイズ選びをより一層難しくさせている要因の一つと言えるでしょう。
厚底ソールでかかとが浮く理由

「サイズは合っているはずなのに、歩くとかかとがパカパカする」。
この現象を引き起こしている真犯人は、実はあのかわいい厚底ソールにあります。Tazzの最大の魅力でありアイデンティティでもある約4.4cm(1.75インチ)のプラットフォームソール。
これは一般的に「Treadlite by UGG™」やサトウキビ由来のEVA(エチレン酢酸ビニル)フォームで作られています。
EVAは軽量で衝撃吸収性に優れた素晴らしい素材ですが、厚みが4cmを超えると、物理的な「剛性(Stiffness)」が飛躍的に増大し、曲がりにくくなるという特性を持っています。
ここで、人間が歩くときのメカニズムを想像してみてください。通常、私たちは足を前に踏み出し、後ろ足で地面を蹴り出す際、足の指の付け根(MP関節)を大きく曲げます。
スニーカーや薄底の靴であれば、この足の動きに追従して靴底も柔軟に曲がります。これを「屈曲性(Flexibility)」と呼びます。しかし、Tazzの厚底ソールは非常に頑丈で、この屈曲に対して強く抵抗します。
まるで板を足の裏に張り付けているかのように、ソールは真っ直ぐな状態を保とうとするのです。
その結果、どうなるでしょうか。足が蹴り出しの体勢に入り、かかとを持ち上げようとしても、剛性の高い厚底ソールは地面に水平に残ろうとします。
足のかかとは上がるのに、靴底はついてこない。この瞬間、足と靴の間に物理的な分離が生じます。これがいわゆる「レバーアーム効果」と呼ばれる現象です。
つま先を支点にして、かかと側にある長いソールがテコの原理で靴全体を下方向に引っ張る力が働き、強制的に足を靴から引き抜こうとするのです。
この現象は、サイズが合っているかどうかに関わらず、構造的に避けられない物理法則です。「脱げる」というのは、単にサイズが大きいからではなく、靴底が足の動きについてこれないために起こる「置き去り現象」なのです。
重さは片足約340g程度と決して重くはありませんが、固定されていないかかとにとっては、このソールの重みと剛性が、歩くたびに下方向への強烈な牽引力として作用してしまいます。
| 要素 | 脱げやすさへの影響 | 解説 |
|---|---|---|
| ソールの厚さ | 大 | 4.4cmの厚みが屈曲を妨げ、足の動きに追従しない。 |
| 素材の剛性 | 大 | EVAフォームは厚くなると板のように硬くなり、曲がらない。 |
| ヒールカップ | 中 | 浅すぎるため、浮こうとするかかとを抑え込む力がない。 |
失敗しないサイズ選びのポイント

インターネット上のレビューやSNSの投稿を見ていると、「Tazzは履き口が狭いからワンサイズアップすべき」「甲がきついから大きめを買ったほうがいい」というアドバイスが散見されます。
確かに、日本人の足は欧米人に比べて甲が高く幅が広い傾向があるため、新品のTazzに足を入れる際は、その狭い入り口に阻まれて「入らないかも?」と不安になることがあります。
しかし、脱げ防止という観点から、そして将来的な快適さという観点から言えば、安易なサイズアップは最も避けるべきリスクの高い選択です。
なぜサイズアップが危険なのでしょうか。靴のサイズを上げるということは、単に幅が広くなるだけでなく、靴の全長(レングス)も長くなることを意味します。
レングスが長くなれば、かかとの位置は本来収まるべきヒールカップから遠ざかり、後ろに隙間ができます。さらに致命的なのは、甲部分(アッパー)の高さも高くなってしまうことです。
前述した通り、Tazzにおいて足を繋ぎ止める唯一のアンカーは「甲のフィット感」です。
サイズアップによってこの部分に「ゆとり」を持たせてしまうと、ただでさえ剛性の高いソールを持ち上げるためのグリップ力が失われます。
結果として、重力とソールの硬さに負けて、スリッパのようにズルズルと引きずって歩くことになり、余計な力が入って脛(すね)やふくらはぎがパンパンに張ってしまうのです。
エイジング(経年変化)を計算に入れる
重要なので繰り返しますが、内側のボア(UGGplush)は消耗品であり、着用による圧力と足の体温で必ず「ヘタリ」が生じます。
データや経験則によれば、数週間の着用で内部の有効体積は確実に増加します。
つまり、試着時の「ジャスト〜少しきつい」という感覚こそが正解であり、その状態が1ヶ月後には「完璧なフィット感」へと変化するのです。
試着時の「快適さ(=緩さ)」を優先すると、将来的に「ブカブカ」になる運命が待っています。
ただし、例外もあります。極端に甲が高い、あるいは足幅が広い足型を持つ方の場合、ジャストサイズでは物理的に足が入らない、あるいは激痛を伴うことがあります。
その場合に限り、サイズアップを選択し、後述する「タンパッド」などの調整グッズで失われたフィット感を人工的に補うという戦略が有効になります。
あくまで「基本はジャストサイズ、例外的にサイズアップ」というスタンスを崩さないことが重要です。
23.5cmなどハーフサイズの選び方
UGG Tazzのサイズ選びにおける最大の難関、それが「ハーフサイズ(0.5cm刻み)が存在しない」という問題です。
基本的にUSサイズ(1cm刻み)での展開となるため、普段23.5cmや24.5cmといったハーフサイズを履いている方は、非常に悩ましい選択を迫られることになります。
特に日本女性の足のサイズで最も多い層である23.5cmの方は、US6(23.0cm)にするか、US7(24.0cm)にするかで天国と地獄が分かれると言っても過言ではありません。
私としての結論、そして多くのシューフィッター的な視点からの推奨は、「基本はハーフサイズダウン(小さい方)を選び、時間をかけて馴染ませる」ことです。
具体的に23.5cmの方を例に、それぞれのサイズを選んだ場合の未来をシミュレーションしてみましょう。
選択肢A:US6(23.0cm)を選んだ場合
履き始めは、正直に言って「きつい」と感じるはずです。つま先が少し触れる感覚があり、甲の圧迫感も強いでしょう。厚手の靴下を履くのは難しいかもしれません。
しかし、これは「修行期間」です。1週間、2週間と履き続けるうちに、内側のボアが足の形に合わせて沈み込み、アッパーのスエード革も体温で柔らかく伸びてきます。
最終的には、足と靴が一体化したような、吸い付くようなフィット感が得られます。かかとの浮きも最小限に抑えられ、プラットフォームソールでも快適に歩けるようになります。
選択肢B:US7(24.0cm)を選んだ場合
足を入れた瞬間は「楽だ」「履きやすい」と感じるでしょう。厚手の冬用ソックスも難なく履けます。しかし、問題は歩き出した瞬間に発生します。
初期段階からかかとが浮き、パカパカと脱げる感覚があるはずです。そして恐ろしいことに、ボアが馴染んでくるとその空間はさらに広がります。
1ヶ月後には、歩くたびに脱げそうになり、足の指で必死に靴底を掴む「クロートゥ」状態になり、長時間の歩行が苦痛に変わるリスクが高いのです。
| 普段のサイズ | 推奨サイズ | 予想される経過と対策 |
|---|---|---|
| 23.5cm | US6 (23.0cm) | 推奨。最初はきついが、馴染むとジャスト。薄手の靴下から慣らすのがコツ。 |
| 23.5cm | US7 (24.0cm) | 要注意。甲高幅広で痛みがある場合のみ選択。ただし、必ずかかとが浮くため、タンパッド等での調整が必須条件となる。 |
もちろん、足の形は千差万別です。「どうしてもつま先が当たるのが不快」という方は、サイズアップを選び、その代償として調整パッドを駆使するという覚悟を持つ必要があります。しかし、「迷ったら小さめ」というのが、革とボアの性質を考慮した上でのTazz選びの鉄則であることは間違いありません。
脱げることに関する口コミの傾向

実際にTazzを購入し、日々の生活で着用しているユーザーたちの声に耳を傾けてみると、そこには明確なパターンが存在します。
検索データやSNS、レビューサイトを分析すると、「脱げる」というキーワードに関連する口コミは、大きく「後悔型」と「解決型」の二つに分かれます。
まず「後悔型」の口コミで圧倒的に多いのが、やはり「サイズアップして失敗した」という声です。
「レビューを信じて大きめを買ったら、歩くたびに脱げて恥ずかしい」「階段の上り下りが怖くて手すりが離せない」「走れないから遅刻しそうになった」といった切実な悩みが寄せられています。
中には、「結局メルカリで売って、小さいサイズを買い直した」という経験談も少なくありません。これらは、Tazzの「ソールが曲がらない」という特性を甘く見て、一般的なスニーカーと同じ感覚でサイズを選んでしまった結果と言えます。
一方で、「解決型」あるいは「成功体験」の口コミも多数存在します。「最初は親指が痛くて失敗したかと思ったけど、我慢して履いていたら最高の相棒になった」「最初は脱げたけど、中敷きを工夫したら快適になった」という意見です。
特に注目すべきは、「馴染んだ後のTazzは無敵」という感想です。一度足の形にフィットしてしまえば、あの厚底が生み出すスタイルアップ効果と、包み込まれるような暖かさは、他の靴では代えがたい魅力となります。
また、検索クエリには「疲れる」「歩きにくい」という言葉も並びますが、これは多くの場合、脱げそうになる靴を無意識に足の指で掴んで歩いていることによる筋肉疲労(特に脛の前脛骨筋やふくらはぎ)が原因です。
「脱げる靴」を履くことは、常に筋トレをしているような負荷を足にかけているのと同じです。
だからこそ、この後紹介する「脱げ防止対策」をしっかりと行い、足と靴を一体化させることが、疲れないための最短ルートなのです。
UGG Tazzが脱げるのを防ぐ対策と解決策

「もう買ってしまったけれど、どうしても脱げる」「サイズ選びに失敗したかもしれない」という方も、決して諦めないでください。
Tazzの構造的な弱点は、適切なアイテムと知恵を使うことで、劇的に改善することが可能です。ここからは、私が実際に試して効果を感じた対策を、手軽なものから本格的なものまで段階的にご紹介します。
脱げ防止におすすめの靴下素材
靴下は、足と靴(ライニングのボア)を繋ぐ重要なインターフェースです。実は、靴下の素材選びを変えるだけで、脱げやすさが改善されるケースは意外と多いのです。ここで鍵となるのは「摩擦係数(滑りにくさ)」です。
最も避けたい、いわばTazzにとっての「天敵」とも言えるのが、ナイロン製のタイツ、ストッキング、そして表面がツルツルした平滑なポリエステル靴下です。
これらは非常に滑りやすく、UGGのフワフワした毛足の上で摩擦ゼロのスケートリンク状態を作り出してしまいます。これでは、どんなにサイズが合っていても、歩くたびに足が靴の中で滑走(スリップ)し、かかとが抜けてしまいます。
推奨される素材とスタイル
- ウール混や太めのコットン素材:
表面にざらつきや凹凸(テクスチャ)がある素材を選びましょう。リブ編みのソックスなどは特に有効です。繊維の凹凸がUGGplushの毛足と絡み合い、物理的なグリップ力(摩擦抵抗)を生み出してくれます。 - シリコン付きカバーソックス:
どうしてもタイツを履きたい場合や、素足風に見せたい場合は、かかと部分にシリコンの滑り止めがついた「脱げないココピタ」のような機能性ソックスを活用しましょう。これをタイツの上から重ね履きする、あるいは素足に履くことで、シリコンが物理的に肌や靴に吸着し、強力なストッパーとなります。 - 素足(ベアフット):
実は、UGGが本来推奨しているのは「素足履き」です。シープスキンは吸湿・放湿性に優れているため蒸れにくく、何より人間の皮膚が持つ適度な湿り気が、最高の摩擦材となります。衛生面が気になる方はインソールをこまめにケアする必要がありますが、ホールド感という点では素足に勝るものはありません。サーファーが海上がりに素足で履いたのがルーツであることを思い出してください。
インソールや中敷きでの調整法

靴が脱げるとき、多くの人が真っ先に思いつくのが「かかとに貼るパッド」ではないでしょうか。ドラッグストアでもよく売られているアレです。しかし、断言します。Tazzにおいて、かかとパッドは最善策ではありません。
理由は二つあります。一つは、Tazzのヒールカップが浅すぎるため、パッドを貼るとさらに足が入るスペースが浅くなり、逆効果になること。
もう一つは、かかとに厚みが出ると足全体が前方に押し出され、つま先が詰まって痛くなることです。では、どうすればいいのか。私が最も推奨する「神アイテム」は、「タンパッド(甲パッド)」です。
タンパッドとは?
靴の「ベロ(タン)」の裏側、つまり足の甲が当たる部分の内側に貼り付ける、フェルトやスポンジ素材のパッドのことです。
本来はローファーのサイズ調整によく使われますが、Tazzにも絶大な効果を発揮します。
タンパッドが効くメカニズム
タンパッドを甲の裏側に貼ることで、上から足を押さえつける力が生まれます。同時に、足の甲の最も高い部分(甲の頂点)がパッドによって後方に押し戻されるベクトルが働きます。
これにより、「足を靴底に押し付けつつ、かかとをヒールカップに密着させる」という理想的な固定が可能になるのです。
かかとの空間を埋めるのではなく、足を正しい位置にロックする。これが、かかとの浅いミュールタイプの靴において、生体力学的にも理にかなった最強の調整方法です。
Amazonや楽天で「タンパッド」「レザータンパッド」と検索すれば数百円から千円程度で見つかります。素材はクッション性のあるフェルトや、滑りにくいスエード素材のものがおすすめです。
貼る位置は、甲の触れる一番高い部分の裏側です。Tazzの内側はボアですが、粘着力の強いタイプであれば意外としっかり貼り付きますし、剥がれ防止のために端を少し縫い留めても良いでしょう。
100均グッズでできる滑り止め
「まずは手軽に、お金をかけずに試したい」という方には、100円ショップ(ダイソー、セリア、キャンドゥなど)のアイテムを活用したDIY対策がおすすめです。専用品ほどの耐久性はないかもしれませんが、応急処置としては十分に機能します。
耐震マット(ジェルパッド)の活用
意外かもしれませんが、家具の転倒防止に使われる「耐震マット(透明なジェル状のもの)」が役立ちます。これを適当な大きさにカットし、かかとの内側や、甲の裏側に貼り付けます。
このジェルの強烈な粘着性とグリップ力が、足の滑りを強力に食い止めます。ただし、Tazzの内側はフワフワの毛足なので、そのまま貼ってもすぐにホコリや毛が付着して粘着力が落ちてしまいます。
貼る場所の毛を少しカットするか、もしくは靴下側に貼る(!)という逆転の発想も一時的には有効です。
滑り止めシートの「縫い付け」
100均には、食器棚やラグの下に敷くための「滑り止めシート(網目状のゴムシート)」が売られています。
これを小さく切り、かかとの内側に置いて、針と糸で軽く数カ所縫い付けます。粘着テープだとボアに負けて剥がれてしまいますが、縫い付けなら物理的に固定されます。
見た目は少し武骨になりますが、脱げ防止効果は非常に高いです。自分の足に合わせて位置を微調整できるのもDIYの強みです。
ゴムをつけてリメイクする裏技
「見た目が少し変わってもいいから、絶対に脱げないようにしたい」「走れるTazzにしたい」という実用性を最優先する方には、思い切ったリメイク術があります。
それが「Funkette(ファンケット)化」です。UGGには「Funkette」という、Tazzにバックストラップがついたようなモデルが存在しますが、それを自作してしまおうというわけです。
用意するもの
- 幅広の平ゴム(2〜3cm幅。手芸店や100均で入手可能。黒や茶色など靴に合う色で)
- 針と丈夫な糸(革用や厚地用の糸がベスト)
手順
- 平ゴムを自分のかかとに合わせて適切な長さにカットします。(少しテンションがかかるくらいがベスト)
- Tazzの履き口の後ろ側、内側の目立たない位置にゴムの両端を縫い付けます。UGGbraidの刺繍の隙間を狙って針を通すと、硬い素材でも比較的縫いやすいです。
これにより、Tazzは完全にバックストラップシューズへと進化します。
デザイン的にも、ロゴ入りのゴムバンドを使えば公式モデルのような仕上がりになりますし、シンプルなゴムでも違和感はありません。これなら階段もダッシュも怖くありません。究極の解決策と言えるでしょう。
歩きにくい時の歩き方のコツ

ここまで物理的な対策を紹介してきましたが、最後に「ソフトウェア」のアップデート、つまり歩き方の改善についても触れておきましょう。
Tazzはソールが曲がらないため、普通のスニーカーやランニングシューズのように「かかとで着地して、つま先で強く蹴り出す」というローリング運動をすると、どうしてもかかとが浮いてしまいます。
Tazzを履くときのコツは、「フラット着地」を意識することです。
- 足裏全体で着地するイメージ: かかとから強く入るのではなく、足裏全体を同時に地面に置くような感覚で歩きます。
- 膝を柔らかく使う: 着地の衝撃を膝のクッションで吸収し、すり足気味に足を運びます。
- 足全体を持ち上げる: つま先で地面を蹴るのではなく、太ももの付け根(腸腰筋)を使って、足全体を「置いていく」ように歩きます。
少しロボットのような、あるいは日本の「草履(ぞうり)」や「下駄」を履くときの歩き方に近いかもしれません。
また、無意識に足の指で靴底を掴もうとする「クロートゥ(Claw Toe)」動作は、足裏の筋肉(足底腱膜)や脛の前脛骨筋に過度な負担をかけ、疲れの原因になります。
「脱げないように掴む」のではなく、「甲で靴を持ち上げる」という意識を持つと、変な筋肉痛を防ぐことができます。
ブレイクイン(慣らし)の儀式
購入直後の剛性が高い状態では、どんな歩き方をしても脱げやすいものです。まずは室内履きとして使い、体重をかけてインソールを沈み込ませましょう。
また、手を使ってソールをグニグニと曲げ伸ばし(フレックス)して、EVA素材に微細な亀裂(マイクロクラック)を入れることで、多少の柔軟性を与えることも有効です。
UGG Tazzが脱げる悩みの解決法
UGG Tazzが脱げてしまう問題は、製品の欠陥ではなく、その魅力的な厚底デザインと構造による物理的な特性です。
しかし、ここまでお話ししてきたように、サイズ選びと適切な対策によってコントロールすることは十分に可能です。
解決のためのロードマップをおさらいしましょう。
- サイズ選びは慎重に: 迷ったら「小さめ」を選び、革とボアを育ててフィットさせる。「大は小を兼ねない」のがTazzの掟です。
- 摩擦を味方につける: 滑る靴下は避け、ウール素材やシリコン付きソックス、あるいは素足で履くことでグリップ力を確保する。
- 物理的に攻める: かかとが浮くなら、かかとパッドではなく「タンパッド」で甲を攻める。それでもダメならDIYでストラップをつける。
最初は扱いにくい「じゃじゃ馬」のような靴かもしれませんが、足に馴染んでくれば、そのスタイルアップ効果と暖かさは他には代えがたいものになります。
適切なケアと工夫で、Tazzはあなたの冬のファッションを格上げする最高の相棒になるはずです。ぜひ、ご自身の足に合った調整を見つけて、快適なTazzライフを楽しんでくださいね。