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革靴の色落ちは100均で直せる?ダイソー補修グッズと失敗しない手順

革靴 色 落ち 100 均

こんにちは。レザーソールズ:ローファー・革靴・スリッポン選び方ガイドです。

革靴を履いていると避けて通れないのが、つま先やかかとの色落ちや擦れ傷ですよね。修理に出すと高いし、かといって専用のケア用品を揃えるのもお金がかかる。

そんな時、ふと「ダイソーやセリアにある100均グッズでなんとかならないかな?」と考えたことはありませんか。実際に店舗に行ってみると、補修ペンや靴クリーム、スエード用の消しゴムなど、驚くほどたくさんの種類が並んでいます。

でも、本当に大切な靴に使っても大丈夫なのか、失敗して色が変になったりしないか、合皮やスエードにも使えるのかなど、不安も尽きないと思います。

この記事では、そんな疑問を解消するために、100均アイテムを使った補修の可能性とリスクについて詳しく解説していきます。

この記事のポイント

  • ダイソーやセリアで入手できる補修アイテムの選び方がわかる
  • つま先の色剥げや合皮の劣化を目立たなくする具体的な手順がわかる
  • ハンドクリームなどの代用品を使う際のリスクと注意点が理解できる
  • 大切な革靴をダメにしないための失敗回避テクニックが身につく

革靴の色落ちを100均グッズで補修する基礎知識

革靴 色 落ち 100 均

100円ショップのシューケア用品コーナーは、年々進化を続けています。

かつては「安かろう悪かろう」の代名詞でしたが、現在ではダイソー、セリア、キャンドゥ各社が独自の製品ラインナップを展開しており、使い方さえ間違えなければ十分に実用的なレベルに達しています。

しかし、専門店で売られているサフィールやコロンブスといった有名ブランドの製品と比べると、成分の濃度や使い心地には明確な違いがあるのも事実です。

まずは、100均アイテムの実力と特性を正しく理解し、自分の靴の状態に最適なアイテムを選ぶための基礎知識を身につけましょう。「とりあえず黒いクリームを塗ればいい」という安易な考えは、かえって靴の寿命を縮める原因になります。

ダイソー等の補修ペンやクリームの選び方

100円ショップに行くと、靴ケアコーナーには「靴クリーム」「ワックス」「補修ペン」「液体クリーナー」など、多種多様なアイテムが並んでいて目移りしてしまいますよね。

これらは用途によって明確に使い分ける必要があります。特に色落ち補修において重要なのが、「染み込ませるタイプ」なのか「上に乗せるタイプ」なのかを見極めることです。

まず、最も一般的な「乳化性靴クリーム」(チューブ入りや瓶入り)についてです。

ダイソーやセリアで売られているこれら製品は、成分表示を見ると「ろう、油脂、有機溶剤」と書かれています。私の使用感としては、100均の乳化性クリームは水分量が多く、非常に伸びが良いのが特徴です。

サラサラしているため、革への浸透は早いのですが、色の定着力(カバー力)は専門店の商品に比べてやや弱い傾向があります。

ですので、全体的に色が薄くなった、なんとなく白っぽく乾燥しているといった「軽度な色あせ」には最適ですが、革がめくれて下地が見えているような深い傷を隠すには力不足なことが多いです。

次に注目したいのが「補修ペン」「クレヨンタイプ」の補修材です。

ダイソーの「キズカク〜ス」などが有名ですね。これらはインクやワックスの固まりであり、革に浸透させるというよりは、革の表面に色を「塗る(ペイントする)」または「埋める」ための道具です。

つま先をぶつけて塗装が剥がれてしまったような「物理的なダメージ」には、クリームではなくこちらの補修ペンを選ぶのが正解です。

ただし、インクタイプは一度塗ると修正が効きにくく、色が濃く出過ぎてしまうことがあるため、扱いには慎重さが求められます。

そして最後に「固形ワックス」(缶入り)です。これは色をつけるというよりは、革の表面にロウの膜を作って「光らせる」ためのものです。

補修という観点では、クリームやペンで色を入れた後に、その上からコーティングして色落ちを防ぎ、光の反射で傷を目立たなくさせる「仕上げ剤」として機能します。

100均のワックスでも、練習すれば十分に鏡面磨き(ハイシャイン)ができるレベルの品質のものがあります。

100均補修アイテムの選び方まとめ

  • 全体の色あせ・乾燥: チューブ入りの「靴クリーム」(伸びが良く全体ケア向き)
  • つま先の削れ・深い傷: ペンタイプやクレヨンタイプの「補修材」(色が濃く乗る)
  • 仕上げ・保護: 缶入りの「固形ワックス」(被膜を作って傷を隠す)
  • 注意点: 100均製品は有機溶剤のにおいが強いものが多いので、必ず換気をしながら作業しましょう。

スエードや合皮に使える100均商品の種類

革靴 色 落ち 100 均

「革靴」といっても、表面がツルツルしたスムースレザー(表革)だけではありません。起毛している「スエード・ヌバック」や、本革に似せて作られた「合成皮革(合皮)」の靴を履いている方も多いでしょう。

これらの素材に対して、スムースレザー用の靴クリームを使ってしまうと、取り返しのつかない失敗につながります。素材に合わせた100均アイテムの選び方を詳しく解説します。

まずスエード(起毛革)ですが、これは非常にデリケートな素材です。クリームを塗ると毛が寝てしまい、ベタベタになって特有の風合いが台無しになります。

専門店ではスエード専用の「補色スプレー」が売られていますが、残念ながら現在の100円ショップのラインナップでは、スエードに色を入れる専用スプレーはほとんど見かけません。

では100均でケアできないかというと、そうではありません。スエードの色あせの多くは、ホコリが毛の間に溜まったり、毛が寝てしまったりすることで「白っぽく見えている」だけの場合が多いからです。


そこで活躍するのが「スエード用汚れ落とし消しゴム」「ワイヤーブラシ(またはナイロンブラシ)」です。これらはダイソーやセリアでも入手可能です。

消しゴムで汚れを物理的に削り落とし、ブラシで毛並みを逆立てるように起こしてあげるだけで、驚くほど色が復活して見えることがあります。

つまり、スエードに関しては「色を足す」のではなく「汚れを落として毛を起こす」ことで色落ちに対処するのが100均ケアの基本戦略となります。

次に合成皮革(合皮)です。

合皮は布地の上にポリウレタン樹脂などをコーティングした素材ですので、革のように水分や油分を吸収しません。そのため、靴クリームを塗っても表面でヌルヌルと滑るだけで、全く定着しないのです。

それどころか、クリームに含まれる有機溶剤が合皮のコーティングを溶かしてしまい、ベタつきの原因になることもあります。


合皮の色落ち(表面の剥がれ)に使える意外な100均アイテム、それが「アクリル絵の具」です。文具コーナーや画材コーナーに置いてあります。

アクリル絵の具は乾燥すると耐水性のゴム状の被膜になるため、合皮のツルツルした表面にも食いつきやすく、剥がれた部分をピンポイントで隠すのに最適です。

また、広範囲に剥がれてしまった場合は、手芸コーナーにある「補修用合皮シート」をカットして貼り付けるという物理的なリペア方法も有効です。

素材適した100均アイテム使用NG・注意アイテム
スムースレザー
(一般的な表革)
靴クリーム、固形ワックス、補修ペン水性マーカー(定着せず色落ちする)、油性マジック(変色する可能性あり)
スエード・起毛革スエード用消しゴム、靴ブラシ、防水スプレー乳化性クリーム、ワックス(毛が固まるため絶対NG)
合成皮革
(フェイクレザー)
アクリル絵の具、補修用合皮シート浸透性の高い靴クリーム(吸い込まずベタつく原因に)

つま先やかかとの傷に適した道具とは

革靴で最も損傷が激しいのが「つま先(トゥ)」と「かかと(ヒール)」です。

歩行中につま先を階段の角にぶつけたり、脱ぎ履きの際にかかとを擦り合わせたりすることで、革の表面が削れ、色が剥げて下地が見えてしまうことがよくあります。

こうした局所的なダメージは、全体的な色あせとは異なり、革の繊維が毛羽立っていたり、凹凸ができていたりするため、単にクリームを塗るだけではきれいに隠れません。

このような「傷」に対して私が推奨する最強の100均コンビネーションは、「補修ペン(またはクレヨン)」+「固形ワックス」です。まず、傷の凹みに補修ペンのインクやクレヨンのロウを埋め込むように塗布します。

これにより、白っぽく見えている下地を隠します。しかし、これだけでは表面がガタガタしており、光の反射で傷跡が目立ってしまいます。そこで登場するのが固形ワックスです。

固形ワックスを指に取り、傷の上から少し厚めに塗り重ねます。ワックスがパテ(埋め剤)の役割を果たし、傷の段差を滑らかに埋めてくれます。

その後、少量の水をつけて布で磨き上げることで、ワックス層が硬化し、鏡のような光沢が生まれます。この光沢がカムフラージュ効果となり、傷が劇的に目立たなくなります。

もし傷が深く、革がささくれ立ってしまっている場合は、補修を始める前に下地処理が必要です。

ダイソーのDIYコーナーにある「紙やすり(サンドペーパー)」を活用しましょう。

目の細かいもの(400番〜800番程度)を選び、ささくれ部分だけを優しく削って平らにします。この「傷を均す(ならす)」作業をするかしないかで、仕上がりの美しさに雲泥の差が出ます。

少し勇気がいる作業ですが、100均アイテムだけでプロ並みのリペアに近づける重要なテクニックです。

ハンドクリームなどを代用する際のリスク

革靴 色 落ち 100 均

インターネットやSNSを見ていると、「わざわざ靴クリームを買わなくても、家にあるハンドクリームやニベアで代用できる」「マジックペンで塗ればいい」といったライフハック的な情報を見かけることがあります。

確かに、急な出張先で靴が汚れていることに気づいた時など、手元にあるもので何とかしたい気持ちは痛いほど分かります。しかし、革靴の専門的な視点から見ると、これらの代用テクニックには無視できないリスクが潜んでいます。

まずハンドクリームについてですが、これはあくまで「保湿」を目的としたものであり、「補色(色を付ける)」効果はゼロです。革に潤いを与えるという意味では一時的な代用になりますが、注意すべきは成分です。

多くのハンドクリームには、角質を柔らかくするための「尿素」が含まれています。

尿素はタンパク質を分解する作用があるため、タンパク質でできている革(特にデリケートな革)に塗ると、繊維が分解されてボロボロになったり、ふやけて強度が落ちたりする危険性があります。

また、人間用のクリームは水分と油分のバランスが革用とは異なるため、塗りすぎると油分過多になり、シミ(油染み)の原因になりやすいのです。

次に油性マーカー(マッキーなど)での補修です。

「黒い靴ならマジックで塗れば分からないだろう」と思われがちですが、これはおすすめしません。

油性インクに含まれる染料は、革の上に乗ると独特の「赤紫色」や「青銅色」のようなテカリを発することがあります(ブロンズ現象とも呼ばれます)。

自然光の下で見ると、塗った部分だけが不自然に光ってしまい、かえって傷を目立たせる結果になりかねません。また、一度浸透した油性インクを除去するのは非常に困難です。

代用品使用のリスクまとめ

  • ハンドクリーム: 「尿素」入りは革を傷める原因に。シミのリスクも高い。補色効果はない。
  • 油性マーカー: 不自然なテカリ(紫や緑に光る)が発生しやすい。修正が効かない。
  • 食用油・オリーブオイル: 絶対にNG。酸化して悪臭を放ったり、カビの温床になったりする。

結論として、100円ショップに行けば専用の靴クリームが売っているのですから、リスクを冒してまで代用品を使うメリットはほとんどありません。

「餅は餅屋」と言うように、靴には靴用のクリームを使うのが、結局は一番の近道であり、安全策なのです。

補修での失敗を防ぐための重要ポイント

100均アイテムを使って自分で補修を行うことには、コストメリットという大きな魅力がありますが、同時に「失敗しても誰も責任を取ってくれない」という自己責任の世界でもあります。

大切な靴をダメにしてしまわないために、作業を始める前に必ず押さえておくべきポイントがいくつかあります。これらを守るだけで、失敗の確率はグッと下がります。

最大の失敗パターンは「色が合わない」ことです。特に茶色の靴は要注意です。

一口に「ブラウン」と言っても、赤みの強いマロン系、黄みの強いライトブラウン、焦げ茶色のダークブラウンなど、無限のバリエーションがあります。

100均のクリームは色の種類が少なく、大雑把な色出しになっていることが多いため、自分の靴の色と完全に一致することは稀です。色が合わないクリームを塗ると、シミのように見えてしまいます。

鉄則として、「靴の色よりも、ワントーン薄い色のクリームを選ぶ」ようにしてください。薄い色なら塗り重ねることで調整できますが、濃い色を一度塗ってしまうと薄くすることはできません。

次に重要なのが「パッチテスト(試し塗り)」です。

「よし、やるぞ!」といきなりつま先の目立つ部分に塗り始めるのは自殺行為です。必ず、かかとの内側(土踏まずのあたり)など、目立ちにくい場所で少量試し塗りをしてください。

そして、塗ってすぐではなく、「乾いた後の色」を確認することが重要です。クリームは乾くと色が変化することが多いからです。この一手間を惜しまないことが、DIY補修の成功への鍵です。

また、「汚れ落とし(クリーニング)」をサボらないことも大切です。古いクリームや泥汚れが残ったまま新しいクリームや補修ペンを塗っても、汚れの上に塗っているだけなので定着せず、すぐに剥がれてしまいます。

さらに、汚れを巻き込んで固まると、汚いダマになって見た目も悪くなります。100均のクリーナーシートや液体クリーナーを使って、まずは「すっぴん」の状態にしてから補修を行う。この基本手順を徹底しましょう。

失敗しないための3ステップ

  1. 色選び: 靴よりも少し「薄い色」を選ぶ。
  2. 下準備: 必ずクリーナーで汚れを落とし、乾かす。
  3. テスト: 目立たない場所で試し塗りし、乾燥後の色を確認する。

革靴の色落ちを100均アイテムで直す実践手順

革靴 色 落ち 100 均

基礎知識と道具の選び方を理解したところで、いよいよ実践編に入ります。ここでは、よくあるトラブル別に、100均アイテムだけを使った具体的な補修手順をステップバイステップで解説します。

私が実際に試行錯誤してたどり着いた「コツ」も交えて紹介しますので、ぜひ参考にしながら作業を進めてみてください。焦らず、薄く薄く作業を重ねるのが成功の秘訣です。

つま先の色剥げを補修ペンで直す方法

ビジネスマンの靴の悩みNo.1と言っても過言ではないのが、「つま先の色剥げ」です。階段の段差やデスクの脚にぶつけてしまい、表面の塗装が削れ、グレーや白っぽい革の繊維がむき出しになっている状態。

これを100均の補修ペンで目立たなくする方法を解説します。

用意するもの

  • 100均の補修ペン(靴の色に近いもの、なければ少し濃い目でも可)
  • 靴用クリーナーまたはウェットシート
  • 綿棒(これが重要アイテムです)
  • 100均の靴用ワックス(缶入り)

手順詳細

Step 1: 患部の清掃
まず、傷口とその周辺をクリーナーできれいに拭きます。
削れた革の粉や油分が残っていると、補修ペンのインクが弾かれてしまいます。しっかりと乾燥させましょう。

Step 2: 補修ペンの点描
ここが最重要ポイントです。補修ペンを、マジックで名前を書くように「線」で引いてはいけません。
ペン先を優しく傷口に当て、「点」を打つようにチョンチョンとインクを乗せていきます。
傷の深い部分、色が剥げている部分にだけインクを置くイメージです。

Step 3: 綿棒でのぼかし
インクを乗せたら、乾くのを待たずに、すぐに綿棒(または指先)で軽く叩くようにして馴染ませます。
これを「ぼかし」と言います。インクの境界線を曖昧にすることで、補修した部分と元の革との境目を目立たなくさせるのです。
一度で色が乗らなければ、「塗る→ぼかす→乾かす」を2〜3回繰り返して、徐々に色を濃くしていきます。

Step 4: ワックスでの仕上げ
色が完全に乗って乾いたら、最後に固形ワックスを指に取り、傷の上から薄く塗り込みます。
ワックスがコーティング層となり、補修したインクが雨や摩擦で落ちるのを防いでくれます。
また、ワックスの光沢が傷の凹凸をごまかしてくれるため、仕上がりのクオリティが格段に上がります。

合皮の剥がれをアクリル絵の具で隠す技

革靴 色 落ち 100 均

合成皮革(合皮)の靴を長く履いていると、屈曲部分や接触部分の表面ビニール層がポロポロと剥がれてくることがあります。これは加水分解などの劣化現象であり、靴クリームでは修復できません。しかし、諦めて捨てる前に試してほしいのが「アクリル絵の具」を使った補修術です。

アクリル絵の具は、100円ショップの画材コーナーで簡単に入手できます。水で溶いて使いますが、乾くと耐水性になり、ゴムのように柔軟性を持つため、曲げ伸ばしされる靴の表面にもしっかり追従します。

手順詳細

Step 1: 色を作る(調色)
黒い靴なら「黒」の絵の具そのままでOKですが、茶色などの場合は混色が必要です。
パレット(牛乳パックの裏などで代用可)に出し、茶色、黒、赤、黄色などを混ぜて、靴の色に限りなく近づけます。
アクリル絵の具は乾くと色が少し濃くなる性質があるので、それを見越して「気持ち明るめ」に作るのがコツです。

Step 2: 筆塗り
100均のネイル用などの細い筆を使い、剥がれている部分にだけ絵の具を塗ります。
この時、厚塗りは厳禁です。厚く塗ると乾いた後にひび割れの原因になります。
水で少し緩めた絵の具を、薄く薄く塗り重ねていくのがポイントです。

Step 3: 乾燥と重ね塗り
一度塗ったらドライヤーの冷風などで乾かし、色が薄ければ重ね塗りをします。
剥がれの段差が気になる場合は、絵の具を少し硬め(水少なめ)にして、段差を埋めるように塗ると良いでしょう。

Step 4: 質感の調整
絵の具が完全に乾くと、そこだけマット(つや消し)な質感になることがあります。
その場合は、上から100均の靴用ワックスや、透明なマニキュア(トップコート)をごく薄く塗ることで、周囲のツヤ感と合わせることができます。

かかとの擦れ傷を目立たなくするコツ

かかとは自分では見えにくい場所ですが、後ろを歩く他人からは意外と見られているものです。左右の靴を擦り合わせてできる線状の傷や、色が薄くなってガサガサした状態は、だらしない印象を与えてしまいます。かかとは面積が広いため、ムラなく仕上げる技術が必要です。

個人的におすすめする方法は、「同色の靴クリーム」+「ブラッシング」+「ストッキング磨き」の3段活用です。

手順詳細

Step 1: クリームの塗布
まず、かかと全体に同色の靴クリームを塗ります。
指や布を使って、傷の中にクリームを押し込むように塗り込みます。100均のクリームは伸びが良いので、少量で十分です。

Step 2: 豚毛ブラシでの浸透
ここが重要です。クリームを塗った後、豚毛ブラシ(これもダイソー等にあります)を使って、少し力を入れてブラッシングします。
ガシガシと擦ることで摩擦熱が発生し、クリームの成分が革の毛穴の奥まで浸透・定着します。
ただ塗っただけでは表面に乗っているだけですぐ落ちてしまいますが、ブラッシングをすることで色がしっかりと定着します。

Step 3: ストッキングでの磨き上げ
最後に、伝線して使わなくなったストッキング(または100均のストッキング)を丸めて、かかと部分を高速で磨き上げます。
ストッキングの超極細繊維は、余分なクリームを拭き取りつつ、ワックス成分を均一に伸ばすのに最適です。
驚くほどのツヤが出て、多少の傷なら光の反射で見えなくなります。これはプロの靴磨き職人も使う裏技的なテクニックです。

スエードの色あせを復活させる手順

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スエードの色あせは、染料が抜けてしまった場合もありますが、多くは「汚れの蓄積」と「毛のへたり」が原因です。毛が寝てしまうと光の乱反射がなくなり、色がのっぺりと薄く見えてしまうのです。100均アイテムを使って、この毛並みを復活させましょう。

手順詳細

Step 1: ブラッシングによるホコリ除去
まずは100均の靴ブラシ(できれば硬めの毛のもの)で、スエードの毛の間に入り込んだホコリを掻き出します。
様々な方向からブラシをかけ、毛の根元から汚れを浮かせます。

Step 2: 消しゴムでの汚れ落とし
つま先やかかとの黒ずみ、テカリがある部分は、スエード用消しゴム(なければ砂消しゴムでも代用可)で優しく擦ります。
力を入れすぎると革を傷めるので注意してください。削りカスが出たらブラシで払い落とします。

Step 3: 毛を起こす(ナップレイズ)
ここが色の復活に関わる工程です。ブラシのエッジを使って、寝てしまった毛を逆立てるように起こしていきます。
毛が起き上がると、スエード特有の陰影が生まれ、色が濃くなったように見えます。

Step 4: 防水スプレーによる仕上げ
最後に防水スプレーを全体にかけます。
防水スプレーにはフッ素樹脂やシリコン樹脂が含まれており、これらが革に浸透することで「濡れ色効果」を発揮し、色をワントーン暗く、深く見せる効果があります。専用の補色スプレーがなくても、これだけで見違えるほど色が鮮やかになることが多いです。

革靴の色落ちを100均でケアする総まとめ

ここまで、100円ショップのアイテムを駆使した革靴の色落ち補修テクニックを詳しく解説してきました。結論として、「日常的な軽度の色落ちや、つま先のちょっとした傷であれば、100均グッズで十分に目立たなくすることが可能」です。

特に、ダイソーやセリアで手に入る「補修ペン」や「アクリル絵の具」を活用したリペア術は、専門店に頼むコストと時間を大幅に節約できる賢い選択肢と言えるでしょう。

また、高価な道具を揃えなくても、ブラッシングやストッキング磨きといった「手間」をかけることで、仕上がりのクオリティをプロ並みに引き上げられることもお分かりいただけたかと思います。

ただし、100均アイテムには限界もあります。高級なアニリンカーフなどのデリケートな革、全体的に色が抜けてしまったスエード、特殊な色の革靴などは、100均の汎用品を使うことで逆に状態を悪化させるリスクがあります。

そのような場合は、無理をせず専門の修理店に相談するか、サフィールやコロンブスといった専門メーカーの製品を使用することを強くおすすめします。

「普段履きのビジネスシューズを低コストでキレイに維持したい」「捨てようと思っていた靴をDIYで復活させたい」という目的であれば、今回の記事で紹介した方法は非常に有効です。

まずは目立たない場所でのパッチテストを忘れずに、あなたの愛用の靴を100均アイテムで蘇らせてみてください。

免責事項

本記事で紹介した方法は、一般的な革靴に対する効果に基づいています。革の種類(コードバン、エキゾチックレザー等)や状態、製品の成分変更等により、予期せぬ変色やダメージが発生する可能性があります。実施の際は必ず目立たない場所でテストを行い、自己責任において作業を行ってください。不安な場合は、専門の修理店へ相談することをおすすめします。

(参考:一般社団法人 日本皮革産業連合会『皮革のお手入れ』

参考記事

-お手入れ・快適性, 革靴
-,