
こんにちは。レザーソールズ:ローファー・革靴・スリッポン選び方ガイドです。
新しい靴、特にお気に入りの革靴やパンプスを見つけた時って、本当にテンションが上がりますよね。でも、いざ履いて出かけたら、かかとが痛い、くるぶしが当たる、小指が擦れる…なんて経験、ありませんか?
私もスニーカーからローファーまで色々試すのが好きなんですが、この「靴擦れ」だけは本当に厄介だなと思います。せっかくのデザインも、痛くて履けなければ宝の持ち腐れですもんね。
この記事では、そんな悩みを解決するために、新しい靴で靴擦れしない方法について、私が試してきたことを中心に、購入時の選び方から履きおろす前の準備、そして万が一の対策まで、幅広くまとめてみました。靴を買う時の選び方から、絆創膏の効果的な貼り方、ワセリンを使った予防、便利な防止グッズ、もし水ぶくれができてしまった場合の処置まで、幅広くカバーしていきますね。
靴擦れは「運」ではなく、メカニズムを知れば「予防できる」ものだと私は思っています。しっかり対策すれば、新しい靴でもっと快適にお出かけできるはずです。
新しい靴で靴擦れしない方法:購入編

靴擦れ対策って、実は「買う時」から始まっるんですよね。履き始めてから「痛い!」と気づいても、もう遅いことが多いですから…。
ここでは、新しい靴を手に入れる「購入段階」でできる、靴擦れしない方法の基本を見ていきましょう。靴の種類によってもポイントが違うので、革靴やパンプス、スニーカーなど、タイプ別に解説しますね。
- 失敗しない靴の買い方と試着のコツ
- 革靴はプレメンテナンスで馴染ませる
- パンプス特有の悩みと防止グッズ
- スニーカーの靴擦れと靴紐の結び方
- サンダルの靴擦れと鼻緒対策
失敗しない靴の買い方と試着のコツ
靴擦れを防ぐ一番のポイントは、なんと言っても「フィッティング(試着)」です。デザインがいくら気に入っても、自分の足に合わなければ、結局は靴箱の肥やしになってしまいますからね。
「サイズ(cm)は合ってるはずなのに…」という失敗をなくすため、試着の際は以下の点を意識してみてください。
プロが実践する試着のチェックポイント
- タイミングは「夕方」: 足は日中の活動でむくみます。一番大きくなる夕方から夜にかけて試着するのがベストですね。
- 靴下を合わせる: その靴を履く時に実際に使う「普段使いの靴下」で試着しましょう。革靴なのに薄手のスニーカーソックスで試着、とかはNGです。
- 両足で、歩いてみる: 必ず両足に履いて、店内を少し歩いてみてください。座った時と立った時ではフィット感が全然違います。
- かかとの固定感: 最重要ポイントです。歩いた時に「かかとが上下に動かない(浮かない)」ことを確認してください。かかとが浮くと、そこが擦れて靴擦れの直接の原因になります。
- つま先と幅: つま先は5mm~1cmほど余裕(捨て寸)があり、指が動くか。親指や小指の付け根(ワイズ)がキツすぎないかも大事です。
試着のタイミングはなぜ「夕方」なのか?
これは、人間の足が重力の影響で、朝よりも夕方の方が水分が下がって「むくむ」からです。
一日のうちで足が最大になるサイズに合わせて靴を選ばないと、午前中は良くても、午後になったらきつくて痛い…という事態になりがちです。仕事帰りに靴を買いに行くのは、実は理にかなってるんですね。
試着に「普段使いの靴下」が必須な理由
例えば、冬に履く革靴を、夏用の薄いソックスで試着したらどうなるでしょう? 当然、冬になって厚手のウールソックスを履いたら、靴はパンパンできつくなります。
逆に、厚手の靴下で試着したパンプスを、ストッキングで履いたらブカブカになるかもしれません。靴下の厚みは、フィット感を左右する重要な要素。必ず「本番で履く靴下」を持参しましょう。
最重要:かかとの固定(ヒールリフト)の確認
私が試着で一番時間をかけるのがここです。座った状態で「かかとに指が一本入る」というのは、あくまで目安。大事なのは、立ち上がって歩いた時に「かかとが靴の中で浮かないか(=ヒールリフトが起きないか)」です。
歩くたびにかかとが上下に動くと、アキレス腱のあたりが靴の縁と何度も擦れ合い、あっという間に靴擦れになります。靴紐をしっかり締めた状態で、かかとがしっかり固定されるかを確認してください。
つま先(捨て寸)とワイズ(足囲)のバランス
つま先に必要な5mm~1cmの余裕は「捨て寸」と呼ばれ、歩行時に足が前に動いたり、指が曲がったりするためのスペースです。これが無いと、指先が圧迫されて痛みます。かかとをしっかりヒールカップに合わせた状態で、つま先に適度な余裕があるか確認しましょう。
同時に、親指と小指の付け根の最も広い部分(ワイズ)が、過度に圧迫されていないかもチェック。自分の足の形(エジプト型、ギリシャ型、スクエア型など)を把握しておくと、靴の先端(トゥ)の形状と自分の足が合いやすいか判断するのにも役立ちますよ。
革靴はプレメンテナンスで馴染ませる

特に革靴!新品の革靴は、製造から店頭に並ぶまでの間に革の水分や油分が抜け、乾燥して硬くなっていることがほとんどです。これが足に当たって痛いんですよね。
だから、履きおろす前の「プレメンテナンス」がすごく重要です。目的はピカピカにツヤ出しすることじゃなくて、革を柔らかく保湿して、足に馴染みやすくすることです。
靴擦れ防止の鍵は「内側」への保湿
私の一番のおすすめは、革靴の「内側(ライニング)」にデリケートクリーム(水分が多い保湿クリーム)を指で薄く塗ることです。
なぜなら、摩擦が起きるのは足と「靴の内側」だから。ここを柔軟にするのが一番効くんですよね。特にかかとや小指が当たる部分は念入りに塗ってみてください。
外側とシューキーパーの役割
もちろん、外側の革(アッパー)にもデリケートクリームや乳化性クリームを塗り、しっかり保湿と栄養を与えます。
乾燥は革のひび割れにも繋がりますからね。保湿が完了したら、必ずシューキーパー(シューツリー)を入れて形を整えておきましょう。履きジワを伸ばし、靴の反り返りを防ぐ大事な役割があります。
新品の革靴を下ろす前の詳しい手順については、「新品の革靴を履き下ろす(プレメンテナンス)方法」の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
それでも硬さが気になる場合は、革を柔軟にする「ストレッチムース」といった専用品を内側からスプレーするのもアリですね。
パンプス特有の悩みと防止グッズ

女性の場合、パンプスはまた革靴とは違った悩みがありますよね。「かかとがパカパカ脱げる」か、「つま先が圧迫されて痛い」か、あるいは「前滑りして指が痛い」か…このあたりかなと思います。
パンプスは革靴と違って紐で調整ができないので、これはもう、専用の防止グッズに頼るのが手っ取り早いです。
パンプス用お助けグッズ(悩み別)
| 悩み | 対策グッズ例 | 効果 |
|---|---|---|
| かかとが脱げる(パカパカ) | かかと用パッド(クッション) | 靴の内側(かかと)に貼り、隙間を埋めて脱げにくくする。 |
| つま先が痛い(圧迫) | つま先用クッション | 靴の先端に詰めるクッション。圧迫を和らげる。 |
| 足が前に滑る | 滑り止めインソール(ハーフ) | 足裏(特に母指球あたり)の滑りを止め、前滑りを防ぐ。 |
| 全体的に少し大きい | フルインソール(中敷き) | 靴内部の容積を調整し、全体のフィット感を上げる。 |
これらのグッズは100円ショップやドラッグストアでも手軽に手に入ります。自分の悩みに合わせて組み合わせてみるのがおすすめです。
もちろん、購入段階で「ストラップ付きのデザインを選ぶ」というのも、かかと脱げを防ぐ非常に賢い選択だと思います。
スニーカーの靴擦れと靴紐の結び方
「スニーカーで靴擦れ?」と思うかもしれませんが、意外とあるんですよね。特に新品のレザースニーカー(スタンスミスとか)や、くるぶし周りが硬いハイカットモデルだと、くるぶしやかかとが当たって痛いことがあります。
この場合、まずは厚手の靴下でガードするのが基本です。でも、一番大事なのは「靴紐の結び方」。
スニーカーのフィット感は、靴紐の締め方でほぼ決まります。靴擦れが起きる時って、大抵かかとが固定されていないことが多いんです。
「ヒールロック」でかかとを固定する
靴紐をただきつく締めるんじゃなくて、足首に一番近い穴をしっかり締めて、かかとを靴のヒールカップに固定する「ヒールロック」を意識してみてください。
一番上の穴までしっかり紐を通し、足首をホールドするようにキュッと締める。これだけで、靴の中での足のズレ(特に前後のズレ)がなくなり、くるぶしや他の場所への摩擦も一気に減りますよ。ぜひ試してみてください。
サンダルの靴擦れと鼻緒対策
夏場に悩むのがサンダル。特にストラップが食い込んだり、ビーチサンダルの「鼻緒(はなお)」が指の間に当たったりするのは、本当に痛いですよね。
これはもう、皮膚が直接擦れるので、対策は「滑りを良くする」か「物理的に保護する」かの二択です。
最強の予防策「ワセリン」
私が一番効果があると思うのは、ワセリンを薄く塗ることです。擦れるストラップや鼻緒が当たる部分に、履く前に薄ーく塗っておくだけ。
これだけで摩擦が劇的に減ります。シンプルかつ最強の対策かなと思います。リップクリームでも代用できますが、持続力やコストを考えるとワセリンがおすすめです。
ワセリンが苦手な人は専用グッズを
ワセリンのベタつきが苦手な方は、専用グッズもあります。
- 鼻緒専用パッド(カバー): 鼻緒に巻き付けるシリコン製のカバーなど。
- サンダル用5本指ハーフソックス: 見た目の問題はありますが、指の間の摩擦は完全に防げます。
- 保護テープ: ストラップが当たる場所に、あらかじめ目立たない保護テープを貼っておく。
色々試してみるのもいいかもですね。
部位別!新しい靴の靴擦れしない方法

靴の選び方や準備が万全でも、どうしても特定の場所が痛くなる…そういうことはあります。
なぜなら、靴は画一的な木型で作られていますが、私たちの足は一人ひとり形が違うからです。そんな時のために、次は「部位別」のピンポイントな対策です。新しい靴で靴擦れしない方法として、即効性のあるテクニックを紹介しますね。
- かかとが痛い時の絆創膏の貼り方
- くるぶしが当たる場合の対処法
- 小指が痛む時の局所的な対策
- ワセリンで摩擦を減らすテクニック
- 靴擦れで痛い!水ぶくれの応急処置
かかとが痛い時の絆創膏の貼り方
靴擦れといえば「かかと」。ここが一番多い悩みだと思います。予防的に絆創膏を貼るのが定番ですが、「歩いているうちにすぐ剥がれて、靴下の中で丸まって余計に痛い…」なんてこと、ありませんか?
これは、かかとが「球体」であることと、歩行時に「伸縮」する部位であるため、平面的な絆創膏では追従しきれないのが原因です。
そうならないために、剥がれにくい貼り方を試してみてください。
【アスタリスク貼り】かかと用・絆創膏の剥がれにくい貼り方
- 絆創膏(普通サイズ)を用意します。
- パッド部分(ガーゼ部分)を避けて、両端のテープ部分の真ん中に、ハサミで縦に切れ込みを入れます。
- (上側テープ)まず、切れ込みを入れた上半分(A)を、かかとのカーブに沿わせるように貼ります。
- (上側テープ)次に、上半分(B)を、(A)に少しクロスさせる(重ねる)ようにして貼ります。
- (下側テープ)同様に、下半分(C)を貼り、(D)を(C)にクロスさせるように貼ります。
くるぶしが当たる場合の対処法
これは、靴の縁(トップライン)が、物理的にくるぶしの骨に当たっている状態です。特にローファーや、新品のスニーカーなどで起きやすいですね。
この原因はシンプルで、「あなたのくるぶしの骨の位置が、靴の縁の高さより低い」からです。
一番簡単な解決策は、「インソール(中敷き)で足の高さ(かかとの位置)を調整する」ことです。
インソール(全敷き)で高さを稼ぐ
靴全体に1枚インソールを入れるだけで、かかとの位置が数ミリ上がります。それだけで、くるぶしが靴の縁より上に出て、当たらなくなるケースは非常に多いです。ただし、靴全体のフィット感がきつくなる可能性があるので、試着段階で余裕がある場合に限られます。
ヒールパッド(部分インソール)での微調整
全体がきつくなるのは困る、という場合は、かかと部分だけの「ヒールパッド(ヒールクッション)」がおすすめです。これならつま先側のフィット感を変えずに、かかとだけ数ミリ持ち上げることができ、くるぶし問題をピンポイントで解決できることが多いです。
小指が痛む時の局所的な対策
小指が痛いのは、ほぼ確実に「靴の幅(ワイズ)が合っていない」か、「足の形(例えば幅広のスクエア型)と靴の先端の形(例えば細いポインテッドトゥ)が不一致」なのが原因です。
根本的には靴選びのミスですが、買ってしまったものを何とかしたい場合もありますよね。
自分でできる対策(保湿と圧迫)
革靴であれば、まずは「革靴はプレメンテナンスで馴染ませる」で紹介したように、内側からデリケートクリームを塗り込んで革を柔らかくすることを試みてください。
そして、シューキーパーを入れた上から、小指が当たる部分を外側から指でグッと圧迫して、少しでも革を伸ばす努力をします。
物理的な対策(ストレッチャー)
それでもダメなら、最終手段として「シューストレッチャー(ポイントストレッチャー)」で物理的に革を伸ばすことも可能です。
シューストレッチャーは、靴の特定の部分だけを内側からピンポイントで伸ばせる器具です。
外反母趾の付け根や小指が当たる部分に使うと効果的ですが、やりすぎると革が伸び切って元に戻せなくなるので、慎重に作業する必要があります。
自分でやるのが怖い場合は、靴修理の専門店(シューリペアショップ)に持ち込めば、数千円で専用の機械を使って伸ばしてくれる(ストレッчиング)サービスもあります。大切な靴なら、プロに任せるのが一番安心かもしれませんね。
革靴が痛い時の対策については、「痛い革靴の伸ばし方。自宅でできる簡単な方法とおすすめの対策」でも詳しく解説しています。
ワセリンで摩擦を減らすテクニック

サンダルの項目でも触れましたが、ワセリンは靴擦れ防止の万能選手です。靴擦れは「摩擦」によって皮膚がダメージを受けることで起きるので、その摩擦係数を下げてしまおう、という非常にシンプルな理屈ですね。
マラソンランナーがマメ防止に足に塗るのと同じ原理です。
ワセリンのメリットと使い方
革靴でもパンプスでも、かかと、くるぶし、小指、親指の付け根など、「あ、ここ擦れそうだな」と思う場所に、履く前に薄く塗っておくだけ。肌の滑りが良くなって、痛みを防げます。
安価で、ドラッグストアで手軽に入手でき、皮膚への刺激も少ないのが大きなメリットです。(もちろん、肌に合わない場合はすぐに使用を中止してくださいね)
注意点:塗るタイミングと場所
ワセリンはあくまで「予防」です。すでに皮がむけたり、水ぶくれができてしまった「傷口」には絶対に塗らないでください。傷口に油分を塗ると、傷の治りを妨げたり、細菌の温床になったりする可能性があります。塗るのは、必ず無傷の皮膚にしてください。
デメリットは、ややベタつくことと、靴下やストッキングに油分が付く可能性があることですね。応急処置としてリップクリーム(無色のもの)で代用することも可能ですが、基本的にはワセリンがおすすめです。
靴擦れで痛い!水ぶくれの応急処置

予防策を講じていても、長距離を歩いたり、汗をかきすぎたりして、靴擦れが「発生してしまった」…そんな時の応急処置です。これはもう「怪我」なので、皮膚科学的に正しい対処をすることが、悪化を防ぎ、早く治すために不可欠です。
まず一番大事なのは「清潔にすること(洗浄)」です。
患部をきれいな流水(水道水でOK)で優しく洗い流し、泥や砂などの異物を取り除きます。石鹸を使っても構いませんが、よく泡立てて優しく洗い、しっかりすすいでください。
消毒液は必要?
一般的なイメージとは異なり、消毒液(マキロン、イソジンなど)は、細菌を殺すだけでなく、皮膚の再生を担う「正常な皮膚の細胞」にもダメージを与えてしまう可能性があります。靴擦れのような比較的清潔な傷の場合、水道水での十分な洗浄が最適解とされていますね。
ケース1:水ぶくれが潰れていない場合
原則、潰さないでください。
これが鉄則です。なぜなら、水ぶくれの膜の中(水疱内)は「無菌状態」であり、その中に溜まっている「水(滲出液)」には、キズを治すための成長因子が豊富に含まれているからです。
この水ぶくれの皮こそが、外部の細菌から傷口を守る「天然の絆創膏」として機能しています。針で刺すなどして意図的に潰す行為は、無菌室のバリアを破壊し、細菌感染のリスクを意図的に高める行為に等しいため、絶対に避けるべきです。
ケース2:水ぶくれが潰れた場合/皮がむけた場合
うっかり潰れてしまったら、感染を防ぐ処置が必要です。
- 洗浄: まずは流水で患部を清潔に洗います。
- 皮膚の扱い: 潰れた水ぶくれの皮は、無理に取らず、元の位置にかぶせるようにします。この残った皮膚も、傷口を保護する「生物学的ドレッシング(被覆材)」として治癒を助けます。完全に剥がれて浮遊している皮は、清潔なハサミでカットしてもよいですが、無理に剥がしてはいけません。
- 薬剤(任意): 感染が心配な場合、抗生物質配合の軟膏(市販薬もあります)を薄く塗布します。
- 保護: 清潔な絆創膏やガーゼで患部を保護します。
湿潤療法(ハイドロコロイド絆創膏)の活用
近年、傷の治療法として主流となっているのが「湿潤療法(モイストヒーリング)」です。これは、傷を乾燥させて「かさぶた」を作る従来の治療法とは異なり、傷口から出る体液(滲出液)を保持して治癒を促進する治療法ですね。
製品としては、ハイドロコロイド素材を使用した絆創膏(キズパワーパッド、ケアリーヴ治す力など)がこれにあたります。
- メリット: 治癒スピードが比較的早い、乾燥を防ぐため痛みが軽減される、かさぶたを作らないため傷あとが残りにくい。
ただし、この湿潤療法の活用には重大な注意点(禁忌)があります。
湿潤療法の注意点(禁忌)
湿潤療法は、傷を「密閉」する治療法です。もし傷が「清潔」であれば治癒が促進されますが、傷が「汚染」されている場合(=細菌がいる場合)、密閉された環境で細菌が爆発的に増殖するリスクがあります。
以下のケースでは使用してはいけません。
- 屋外で転倒した傷(砂利やゴミなどの異物が混入している可能性がある)
- 受傷から時間が経過し、黄緑色の膿が出ている傷(=細菌感染)
- 洗浄が不十分な傷
靴擦れは通常「清潔な傷」ですが、もし汚れた場合は、まず徹底した洗浄が優先されます。使用する際は、必ず製品の注意書きをよく読んでくださいね。(参照:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「救急絆創膏(家庭用)の正しい使い方について」)
皮膚科受診の目安
ほとんどの靴擦れはセルフケアで対応可能ですが、以下の兆候が見られる場合は、細菌感染などで悪化している可能性があるため、速やかに皮膚科を受診してください。
すぐに病院へ行くべきサイン
- 痛みがなかなか取れない、または悪化する
- 傷の周囲が赤く腫れ、熱を持っている
- 黄緑色の膿が出ている
- 傷が深い、または開いている
- 洗浄しても砂や泥などの異物が残っている
これらの情報はあくまで一般的な応急処置の知識です。最終的な医学的判断は、必ず専門の医師にご相談ください。
総まとめ:新しい靴で靴擦れしない方法
最後に、新しい靴で靴擦れしない方法の要点をまとめますね。
靴擦れは「運が悪い」んじゃなくて、科学的に予防できるものだと私は思っています。その対策は、いくつかの階層に分かれています。
靴擦れ防止の多層的アプローチ
- 上流工程(購入時): 最も重要。自分の足の特性(サイズ、ワイズ、形)を把握し、夕方に、本番用の靴下で試着。特に歩行時の「ヒールリフト(かかとの浮き)」が起きない、フィットした一足を選ぶこと。
- 中流工程(準備): 新品の靴、特に革靴をそのまま履かない。内側へのデリケートクリーム塗布など「プレメンテナンス」で革を柔軟にし、靴の攻撃性を下げる。
- 下流工程(着用・予防):
- インターフェース管理(靴下): 汗を適切に管理できる吸湿速乾性の高い靴下(メリノウールや化学繊維)を選ぶ。綿(コットン)は汗で濡れると乾きにくく、皮膚をふやけさせて靴擦れリスクを高めるため、慣らし期間には非推奨です。
- フィット調整(靴紐): スニーカーや革靴は、靴紐でかかとを確実に固定する(ヒールロック)。
- 物理的予防(ツール): 痛くなりそうな箇所に、予防的に「ワセリン」を塗る、「保護テープ」や「絆創膏」を貼る。
- 最終調整(インソール): インソールやパッドで、フィットの最終的な微調整や、くるぶしが当たるなどの局所的な問題を解決する。
これらの多層的な防御策を講じることで、靴擦れのリスクは最小限に抑えられます。
しっかり対策して、お気に入りの新しい靴とのお出かけを、痛みなく心から楽しんでくださいね!