
ビジネスシーンでの服装が多様化する中、「スリッポンはビジネスマナー違反?」について悩む方が増えています。
快適さとスタイルを両立できるスリッポンは魅力的ですが、カジュアルすぎる印象を与えないか心配になることもあるでしょう。
特に、ビジネスシューズの紐なしのタイプや、ビジネスシューズのスリッポンのおすすめのアイテムを探しているメンズの方は、どのようなデザインなら許容されるのか、具体的なコーデも知りたいところです。
また、スニーカーのようなラフなものはどこまで許されるのか、あるいはメンズカジュアルとして割り切るべきなのか、線引きは難しいものです。
この記事では、ビジネスシーンでのレディース靴や女性のビジネスマナーにも触れながら、スリッポンをビジネスシーンで上手に取り入れるためのポイントを詳しく解説します。
この記事を読むことで、以下の点が明確になります。
スリッポンは失礼?ビジネスマナーを解説
- スリッポンがダメな理由は?
- ビジネスでローファーは失礼ですか?
- ビジネスマナーとしてサンダルはOKですか?
- オフィスカジュアルでNGな靴は?
- スニーカーはビジネスシーンで使える?
- ビジネスシューズ 紐なしの許容範囲
スリッポンがダメな理由は?

スリッポンタイプの靴がビジネスシーンで避けられる、あるいは「ダメ」とされることがあるのは、その靴が持つ歴史的な背景と、デザインに由来するカジュアルな特性に主な理由があります。
そもそもスリッポン(Slip-on)とは、その名の通り「滑り込ませる」靴、つまり靴紐がなく、足を滑り込ませるだけで簡単に着脱できる靴の総称を指します。ローファーやオペラパンプス、スニーカータイプのスリッポンなど、形状は様々です。
この「着脱の容易さ」こそが、スリッポンの最大のメリットであると同時に、ビジネスシーンでの弱点ともなり得ます。
フォーマルな場、特に格式を重んじるビジネスシーンでは、「手間をかけること」が敬意の表れとされる文化があります。例えば、紐付きの革靴は、しっかりと紐を結ぶという行為自体に「身だしなみを整える」という意識が伴います。
対照的に、簡単に脱ぎ履きできるスリッポンは、その手軽さゆえに「軽装」「だらしない」「緊張感に欠ける」といった、ビジネスには不向きな印象と結びついてしまうことがあるのです。
歴史的に見ても、スリッポンの一種であるローファーは、元々ヨーロッパの貴族が室内で履くリラックス用のルームシューズとしてデザインされた背景があります。
このような出自から、厳格なドレスコードが求められるビジネスの場、例えば重要な商談、役員会議、式典、あるいは冠婚葬祭といった場面では、スリッポンタイプはマナー違反と見なされます。
これらの場では、現在でもフォーマル度の最も高い「内羽根式のストレートチップ」など、紐付きの革靴を履くのが正式なマナーです。
したがって、スリッポンが「常にダメ」と一概に言われるわけではありません。しかし、そのカジュアルなイメージから、TPO(時・場所・場合)を厳格にわきまえる必要がある靴として認識されているのです。
ビジネスでローファーは失礼ですか?

ローファーもスリッポンの一種であり、その扱いには特に注意が必要です。ローファーが「失礼にあたるかどうか」は、絶対的な正解があるわけではなく、勤務先のドレスコード、訪問先の業界、そして会う相手との関係性によって大きく左右されます。
ローファー(Loafer)は、英語で「怠け者」という意味を持つ言葉が語源であるという説は広く知られています。これは、紐を結ぶ必要がなく楽に履けることから来ており、この言葉の響き自体が、ビジネスシーンでの使用をためらわせる一因となっています。
ローファー着用が推奨されない業界(例)
- 金融機関(銀行、証券など)
- 法律事務所、会計事務所などの士業
- 公的機関、官公庁
- 歴史のある大手製造業の営業職
- 初めての取引先への訪問時
上記のような、伝統と格式、信頼性を重んじる職場や業界では、ローファー(特にカジュアルなデザインのもの)の着用は避けるべきでしょう。相手に軽薄な印象や、マナーを知らないという印象を与えてしまうリスクがあります。
一方で、現代のビジネスシーンでは服装のカジュアル化が進んでいます。
ローファー着用が許容されやすい業界(例)
- IT企業、Web関連企業
- アパレル、ファッション業界
- 広告代理店、デザイン事務所
- スタートアップ、ベンチャー企業
- 内勤がメインの職種
このような、服装の自由度が高い「ビジネスカジュアル」や「オフィスカジュアル」を採用している職場では、ローファーは定番アイテムとして広く受け入れられています。
ただし、ビジネスカジュアルであっても、ローファーのデザインには配慮が必要です。学生が制服に合わせるような「コインローファー(ペニーローファー)」は、どうしても幼い印象や学生のイメージが抜けません。
ビジネスシーンで選ぶのであれば・・・
- ビットローファー: 甲部分に馬具(ホースビット)を模した金具が付いたデザイン。金具が装飾となり、華やかさとドレッシーな印象を与えます。
- タッセルローファー: 甲部分に房飾り(タッセル)が付いたデザイン。アメリカの弁護士(アイビーリーガー)に愛用された歴史から、知的でややフォーマルな印象も持ち合わせています。
これらのデザインの方が、コインローファーよりもビジネスシーンに適した「大人の履物」として認識される傾向にあります。
ビジネスマナーとしてサンダルはOKですか?

ビジネスマナーにおいて、サンダルは原則としてNGです。これは、どれだけ暑い夏場であっても変わらない、ビジネスにおける基本的なルールのひとつと言えます。
サンダルがNGとされる理由は、その形状にあります。
- 肌の露出: サンダルは、つま先(オープントゥ)やかかと(バックストラップ)、あるいはその両方が露出するデザインが一般的です。ビジネスシーンにおいて、肌の露出は極力抑えるのがマナーであり、足の指やかかとが見える状態は「だらしない」「清潔感に欠ける」と見なされます。
- 相手への敬意: ビジネスの服装は、相手への敬意を示すためのものでもあります。サンダルのようなリゾートウェアやプライベートで履くアイテムは、相手に対して「リラックスしすぎている」「真剣さに欠ける」というメッセージを与えかねません。
- 安全性・機能性: 歩行時にカパカパと音が鳴りやすい、脱げやすい、足が保護されていないため怪我をしやすいなど、機能面や安全面でもビジネスの場には適していません。
これは、素材が革製で上品に見えるデザインの「グルカサンダル」や、オフィス向けとされる「コンフォートサンダル」であっても同様です。これらを履いて取引先を訪問することは、マナー違反にあたります。
唯一の例外として、一部の企業では、自社オフィス内でのみ「社内履き」としてクロッグサンダル(かかとが覆われていないタイプ)などの着用を許可している場合があります。
しかし、これはあくまでも内規であり、来客対応時や会議の場、もちろん社外に出る際には、必ずフォーマルな革靴に履き替えるのが社会人としての常識です。
社内履きのままうっかり来客の前に出てしまうと、個人のみならず会社の品位も疑われかねないため、厳格な運用が求められます。
オフィスカジュアルでNGな靴は?

オフィスカジュアルという言葉が浸透し、服装の自由度は増しましたが、「カジュアル」という言葉に引きずられ、ビジネスの場にふさわしくない靴を選んでしまうケースが後を絶ちません。
どのような靴がNGとされるのかを具体的に知ることは、マナーを守り、周囲からの信頼を失わないために非常に大切です。
まず、前述の通り、サンダルやクロッグサンダルは明確にNGです。肌の露出が多い靴、かかとが固定されない靴は、ビジネスシーンにはふさわしくありません。
次に、以下のような極端にカジュアルなアイテムも不適切です。
- アウトドア用の靴: トレッキングシューズやマウンテンブーツ、ワークブーツなど。これらは特定の機能に特化しており、武骨すぎるデザインがオフィスの雰囲気には馴染みません。
- 派手なスニーカー: 目立つロゴが大きく入ったもの、原色や蛍光色を使った派手な色使いのもの、汚れやダメージが目立つもの。これらはプライベートで楽しむべきアイテムです。
- その他のカジュアルシューズ: エスパドリーユ(麻素材の靴底)、ビーチサンダル、長靴(レインブーツ)なども、オフィス内で履き続けるのは不適切です(レインブーツは通勤時のみとし、オフィスでは履き替えるのがマナーです)。
また、革靴であってもデザインには注意が必要です。
- 極端なデザイン: つま先が極端に尖っている「ポインテッドトゥ」や、逆に丸すぎる「ラウンドトゥ」、つま先が四角い「スクエアトゥ」。これらは流行に左右されやすく、悪目立ちする可能性があります。
- 過度な装飾: スタッズ(鋲)が付いているもの、派手な色のステッチが施されているもの。
- ソールの形状: 厚すぎるソール(厚底)や、極端に薄いソール。
一般的なオフィスカジュアルにおける靴の許容度を、以下の表にまとめます。ただし、これはあくまで目安であり、最終的には自社のドレスコードに従う必要があります。
| 靴の種類 | 許容度 | 注意点 |
|---|---|---|
| 紐付き革靴(内羽根・外羽根) | ◎(最適) | 最も無難で信頼感がある。オフィスカジュアルでは外羽根式のプレーントゥやUチップが合わせやすい。 |
| モンクストラップ | 〇(推奨) | 紐なしだが、ビジネスシューズとして広く認識されている。バックルが程よいアクセントになる。 |
| ローファー(ビット・タッセル) | 〇(許容) | オフィスカジュアルの定番。ビットローファーやタッセルローファーが望ましい。コインローファーは避けるのが無難。 |
| レザースニーカー | △(職場による) | IT系やクリエイティブ系で許容される場合がある。白・黒・紺の無地で、ロゴが目立たないシンプルなデザインのみ。 |
| キャンバススニーカー | ×(非推奨) | カジュアルすぎるため避けるのが無難。学生のような印象を与える。 |
| サンダル・ブーツ類 | ×(厳禁) | 肌の露出やカジュアルすぎるデザインは、ビジネスシーンでは原則NG。 |
スニーカーはビジネスシーンで使える?

スニーカーをビジネスシーンで使えるかどうかは、勤務先のドレスコードや企業文化に大きく依存します。この点を誤解すると、重大なマナー違反と受け取られる可能性があるため、慎重な判断が求められます。
伝統的なスーツスタイル(ダークスーツにネクタイ着用)が必須とされる職場、例えば金融機関、官公庁、老舗企業などでは、スニーカーの着用はマナー違反と見なされます。スーツには革靴を合わせるのが揺るがない基本ルールです。
しかし、現代の働き方の多様化に伴い、「オフィスカジュアル」や「ビジネスカジュアル」を導入している企業、特にIT系、Webサービス、スタートアップ、クリエイティブ系の職場では、スニーカー通勤やオフィス内でのスニーカー着用が許可されているケースも増えています。これは、機能性や快適性を重視し、柔軟な発想を促すという企業文化の表れでもあります。
ただし、どのようなスニーカーでも良いわけではありません。ビジネスシーンで許容されるスニーカーには、明確な条件が存在します。
ビジネスシーンで許容されやすいスニーカーの特徴
- 素材: 最も重要なポイントです。上品な光沢があり、革靴に近い印象を与えるレザー(本革・合成皮革)素材が基本です。キャンバス(布)地やメッシュ素材は、カジュアル度が高すぎるため、避けた方が賢明です。
- 色: 服装に合わせやすく、落ち着いた印象を与えるベーシックカラーに限られます。具体的には、黒、白、紺、グレー、ダークブラウンなどです。白は清潔感がありますが、汚れが目立ちやすいため、手入れが必須です。
- デザイン: ロゴが目立たない、あるいは同系色で小さくあしらわれているものが望ましいです。装飾のないシンプルなデザイン(例:コート系スニーカー)が必須条件です。ハイカットや、エアが見えるようなハイテク系、派手な配色のものは適していません。
- 清潔感: 革靴以上に清潔感が求められます。ソールが汚れていないか、アッパーに傷やシワが寄りすぎていないか、常に手入れの行き届いた状態を保つ必要があります。
これらの条件を満たす、いわゆる「レザースニーカー」や「ビジネススニーカー」と呼ばれるものであれば、ジャケパンスタイルやセットアップスタイルに合わせても、清潔感を保ちつつ、程よい抜け感や軽快さを演出できます。
ビジネスシューズ 紐なしの許容範囲

ビジネスシューズにおいて「紐なし」というカテゴリーは、デザインによってそのフォーマル度や許容範囲が大きく異なります。「紐がないから全てカジュアル」というわけではない点を理解することが重要です。
最もフォーマルなのは、言うまでもなく紐付きの革靴(特に内羽根式のストレートチップ)です。これに次ぐポジションとして、紐なしタイプでもビジネスシーンで一般的に受け入れられているものがあります。
その代表格が「モンクストラップシューズ」です。
これは、靴紐の代わりにバックル(尾錠)付きのストラップ(ベルト)で甲を固定するデザインの革靴です。紐はありませんが、その起源は修道士(Monk)が履いていた靴にあり、革靴としての歴史も古く、バックルの金属がドレッシーな印象を与えます。
そのため、紐靴に準ずるフォーマル度を持つビジネスシューズとして広く着用が認められています。ストラップが1本の「シングルモンク」と、2本の「ダブルモンク」があり、どちらもビジネスシーンで問題なく使用できます。
一方で、同じ紐なしでも「ローファー」は、前述の通りカジュアルな履物として認識されています。オフィスカジュアルが許容される環境でのみ着用が可能です。
さらに、「エラスティックシューズ(サイドゴアシューズやスリッポン)」のように、履き口の両脇や甲の部分にゴム(エラスティック)が使われているタイプもあります。これらは着脱が非常に容易である反面、ゴムが見えるデザインがカジュアルと見なされ、モンクストラップよりもフォーマル度は低いと判断されます。
したがって、「紐なし」の許容範囲を整理すると、以下のようになります。
- モンクストラップ: 紐靴に準ずる。ビジネスシーン全般で許容される。
- ローファー: カジュアル。オフィスカジュアルの範囲でのみ許容される。
- エラスティック(ゴム)タイプ: ローファー同様、またはそれ以上にカジュアル。
このように、紐なし靴を選ぶ際は、そのデザインが持つフォーマル度を正しく理解し、TPOに合わせて選ぶ必要があります。
スリッポン ビジネス マナーとコーデ術
- ビジネスシューズのスリッポンのおすすめ
- メンズ向けスリッポンの選び方
- メンズ カジュアルな合わせ方
- カジュアルすぎる場合の注意点
- ビジカジでのコーデのコツ
- ビジネスシーンのレディースの場合
- 靴で女性が意識すべきマナー
ビジネスシューズのスリッポンのおすすめ

ビジネスシーンでスリッポンタイプの靴を選ぶ場合、マナー違反と見なされないよう、デザインの選択が非常に重要です。カジュアルすぎず、ビジネスにふさわしい品格を保てるアイテムを選ぶ必要があります。
ビジネス用途で「紐なし」の靴をおすすめする場合、その筆頭は、前述の通り「モンクストラップシューズ」です。
これは厳密にはローファーなどのスリッポンとは区別されることもありますが、紐なしで着脱できる革靴という広い括りでは、最もフォーマル度が高く、実用性も兼ね備えた選択肢です。
ストラップが金属のバックルで留められているため、紐靴とは異なるドレッシーなアクセントとなり、スーツスタイルにもジャケパンスタイルにも問題なく合わせられます。
次に、オフィスカジュアルやビジネスカジュアルが許容される職場であれば、「ローファー」が有力な選択肢に入ります。ただし、ローファーなら何でも良いわけではありません。
ビジネスシーンにおすすめのローファーデザイン
- ビットローファー:甲部分に馬具(ホースビット)を模した金属製の飾りが付いたデザインです。この金具が程よい装飾となり、足元に華やかさとドレッシーな印象を与えます。シンプルなジャケパンスタイルも、ビットローファーを合わせるだけで一気に洗練された雰囲気になります。イタリア系のファッションとも相性が良いです。
- タッセルローファー:甲部分に房飾り(タッセル)が付いたデザインです。アメリカの弁護士やエリートビジネスマン(アイビーリーガー)に愛用された歴史もあり、ローファーの中では比較的フォーマル度が高い、知的な印象を持つとされています。アメリカントラッドスタイルによく合います。
逆に、学生靴のイメージが強い「コインローファー(ペニーローファー)」は、デザインがシンプルすぎるがゆえに、ビジネスシーンでは幼く見えたり、カジュアルすぎると判断されたりする可能性があるため、避けた方が無難でしょう。
素材については、光沢のあるスムースレザーが基本です。スエード素材は秋冬のビジネスカジュアルにはお洒落ですが、起毛素材であるためカジュアル度が上がり、手入れも必要なため、職場の雰囲気やTPOを見極める必要があります。
メンズ向けスリッポンの選び方

メンズがビジネスシーンで履くスリッポン(主にローファー)を選ぶ際には、周囲に「だらしない」「マナーを知らない」という印象を与えないよう、以下の3つのポイントを厳格にチェックすることが失敗を防ぐ鍵となります。
1. デザインの選択(最重要)
最も重要なのがデザインです。オフィスカジュアルやビジネスカジュアルが前提となりますが、その中でも「ビットローファー」または「タッセルローファー」を選びましょう。これらは装飾がある分、革靴としての「きちんと感」を演出しやすいです。
甲に装飾が一切ない「ヴァンプローファー」は、シンプルで洗練されていますが、デザインが単純な分、リラックス感が出すぎる(悪く言えば、つっかけのように見える)場合があります。選ぶ場合は、ラスト(木型)がシャープで、素材に高級感があるものを選ぶ必要があります。
2. 素材と色の選定
素材は、品格を感じさせるスムースレザー(本革または高品質な合成皮革)が最適です。表面が滑らかで、適度な光沢があるものを選んでください。
色は、服装に合わせやすく、堅実な印象を強調できる「黒」が最も無難です。次点で、信頼感を醸し出す「ダークブラウン」も良いでしょう。
明るいブラウンやキャメル、ネイビー、ボルドーなどは、カジュアル感が強くなり、コーディネートの難易度も上がるため、ビジネスシーンでは不向きです。
3. ソールの形状
靴底(ソール)の形状も見落とせません。ソールが厚すぎるもの(プラットフォームソール)や、スニーカーのような白いラバーソールは、完全にカジュアルなアイテムですので避けてください。
ビジネスシーンで履くローファーは、ソールが薄手で、靴本体と同系色(黒かダークブラウン)のものが基本です。素材は、伝統的なレザーソール(革底)が最もドレッシーですが、雨の日に滑りやすく実用性に欠ける面もあります。
そのため、見た目は革底のように薄く、かつ滑りにくいラバーソール(ゴム底)を採用したモデルが、実用性とフォーマル感を両立できるためおすすめです。
ビジネススリッポン選びのチェックポイント
- デザインは「ビット」か「タッセル」か?
- 色は「黒」か「ダークブラウン」か?
- 素材は「スムースレザー」か?
- ソールは「薄手」で「靴本体と同系色」か?
これらの条件を満たすスリッポンは、一般的な革靴に近い「きちんと感」を演出しつつ、紐靴にはない「こなれ感」と快適な着脱を実現してくれます。
メンズ カジュアルな合わせ方

スリッポン(特にローファー)は、かっちりとしたビジネススーツスタイルよりも、ジャケットとパンツを別々に組み合わせる「ジャケパン」や、上下共素材の「セットアップ」といった、いわゆる「メンズ カジュアル(ビジネスカジュアル)」スタイルと非常に相性が良いアイテムです。
例えば、ネイビーのジャケットにグレーのスラックスを合わせる定番のジャケパンスタイルがあります。
この足元に紐付きの革靴を合わせるのが王道ですが、そこをあえて黒のビットローファーに変えるだけで、全体の印象が重くなりすぎず、軽快で洗練された「こなれ感」が生まれます。
また、春夏のビジネスカジュアルであれば、ベージュのチノパンに白シャツ、そして素足(または素足に見えるフットカバー)でダークブラウンのタッセルローファーを合わせるのも、清潔感とリラックス感を両立できる良い組み合わせです。
パンツの「丈」と「靴下」が鍵
ローファーを履きこなす上で、非常に重要なのがパンツの「丈(裾の長さ)」です。
ローファーを履く際に、パンツの裾が靴の甲にだぶつく(クッションができる)と、せっかくの軽快なデザインが隠れてしまい、非常に野暮ったく見えてしまいます。
裾丈は、くるぶしが隠れる程度(ノークッション)か、くるぶしがわずかに見える(ハーフクッション)程度に調整するのが鉄則です。これにより、足元がすっきりと見え、ローファーのデザインが引き立ちます。
もう一つのポイントが「靴下(ソックス)」です。
- 春夏(素足風): くるぶし丈のパンツに合わせる場合、素足で履くのは衛生的におすすめできません。靴から見えない「フットカバー(インビジブルソックス)」を着用し、素足風に見せるのが定石です。
- 秋冬(靴下を見せる): スラックスと合わせる場合は、必ず靴下を着用します。色は、スラックスの色(例:グレースラックスならグレー)か、靴の色(例:黒ローファーなら黒)に合わせるのが基本です。柄物は避け、無地のリブソックスを選びましょう。
このように、パンツの丈と靴下の選び方に配慮することで、スリッポンをだらしなく見せず、スタイリッシュなビジネスカジュアルとして完成させることができます。
カジュアルすぎる場合の注意点

スリッポンは便利なアイテムですが、一線を越えて「カジュアルすぎる」と判断されるデザインも多く存在します。これらをビジネスシーンに持ち込むと、社会人としての常識を疑われかねないため、厳重な注意が必要です。
最も注意すべきは、「スニーカータイプのスリッポン」です。
これは、アッパーがキャンバス地やニット素材でできており、ソールもスニーカーそのもののデザイン(白いゴム底など)の靴を指します。
代表的なものにVansのスリッポンなどが挙げられます。いくらオフィスカジュアルが許可されていても、これらは室内履きや近所への外出着、あるいはスケートボード用の靴と見なされ、ビジネスの場には全くふさわしくありません。
また、夏場に人気の「エスパドリーユ」(ジュート麻でソールが編まれた靴)や「ドライビングシューズ」(ソールにゴムの突起が並んだ靴)も、スリッポンタイプですが、これらは元々リゾート用や運転用の靴であり、オフィスで履くべきものではありません。
ローファーであっても、以下のような特徴を持つものはカジュアルすぎると判断されます。
- 明るすぎる色: ライトブラウン、キャメル、赤、紺、白など。これらはビジネスの堅実さよりも、ファッション性を優先した色と見なされます。
- 起毛素材: スエードやヌバックなどの起毛素材。これらは秋冬のカジュアルスタイルには定番ですが、スムースレザーに比べて手入れが難しく、リラックスした印象を与えるため、ビジネスには不向きとされることが多いです。
- 過度な装飾: 大きなリボンが付いているもの、アッパー全体にスタッズが打たれているものなど。
「快適さ」や「楽さ」を優先するあまり、ビジネスシーンに求められる「相手への敬意」や「職務上の緊張感」を欠いた服装にならないよう、デザインと素材選びには細心の注意を払いましょう。
ビジカジでのコーデのコツ

ビジネスカジュアル(ビジカジ)でスリッポン(主にローファー)を上手に、かつマナー違反に見えないようにコーディネートするコツは、全体の「フォーマルとカジュアルのバランス感」にあります。
ローファーは、紐付きの革靴に比べて明確にカジュアル寄りのアイテムです。したがって、足元がカジュアルになる分、服装の他の部分で「きちんと感」や「フォーマル度」を補う意識が大切になります。
例えば、トップスには以下の要素を取り入れましょう。
- 襟付きのアイテム: Tシャツやクルーネックニットではなく、襟付きのシャツ(ドレスシャツやオックスフォードシャツ、夏場はビズポロ)を選ぶことが基本です。襟があるだけで、顔周りが引き締まり、ビジネスライクな印象が強まります。
- ジャケットの着用: シャツの上にジャケット(テーラードジャケット)を羽織ると、さらにフォーマル度が上がります。これがビジカジの基本スタイルです。
パンツも同様です。
- センタープレスの有無: デニム(ジーンズ)やシワの入ったカーゴパンツではなく、センタープレス(中央の折り目)が入ったスラックスや、シルエットの綺麗なチノパン(チノスラックス)を選んでください。センタープレスは、足を立体的に見せ、きちんとした印象を与える上で非常に効果的です。
つまり、服装全体を「ややフォーマル寄り」にまとめ、その足元でローファーによる「程よい抜け感」を演出する、という考え方です。
服装全体がカジュアル(Tシャツにチノパンなど)なところにローファーを合わせると、単なる「休日の私服」になってしまい、ビジネスカジュアルとしては成立しにくくなります。
最後に、ローファーの色は、着用している「ベルトの色」と合わせるのがセオリーです。
黒のローファーなら黒のベルト、ダークブラウンのローファーならダークブラウンのベルト、といった具合に色を統一することで、コーディネートにまとまりが生まれ、スタイル全体が引き締まります。
ビジネスシーンでレディースの場合

ビジネス レディースのシーンにおいても、スリッポンタイプの靴の扱いは、メンズの考え方と近いものがあります。
伝統的に、女性のビジネスシューズの基本は、装飾のないプレーンなデザインのパンプス(ヒールは高すぎない3~5cm程度のミドルヒール)とされています。これは、最もフォーマルで、相手に失礼のないスタイルと考えられてきました。
しかし、オフィスカジュアルが浸透している現代の職場では、その価値観も変化しています。特に、長時間の立ち仕事や外回りが多い女性にとって、パンプスが足への大きな負担になることも事実です(いわゆる「#KuToo」運動なども、こうした背景から生まれました)。
そのような背景から、ビジネス レディースの靴の選択肢も多様化しています。その中で「ローファー」は、女性のオフィスカジュアルにおいても非常に人気のあるアイテムとなっています。
ローファーは、パンプスに比べてヒールが低く(またはフラットで)、甲全体を覆うデザインのため安定感があり、格段に歩きやすいというメリットがあります。
特に、シンプルなコインローファーや、金具がアクセントになる上品なビットローファーは、ビジネスカジュアルの定番であるテーパードパンツやワイドパンツといったパンツスタイルにも、あるいはフレアスカートやタイトスカートといったスカートスタイルにも合わせやすい汎用性があります。
ただし、ビジネスシーンで選ぶ場合は、デザインに注意が必要です。
- リボンが大きく付いたもの
- エナメル素材で光沢が強すぎるもの
- ヒールが高すぎる(太すぎる)ローファー
- 厚底のデザイン
これらはビジネスの場では華美すぎたり、カジュアルすぎたりすると見なされる場合があるため、シンプルなデザインを選ぶよう心がけましょう。
靴で女性が意識すべきマナー

靴 女性がビジネスシーンで意識すべきマナーは、メンズと同様に、まず「清潔感」と「TPO」です。その上で、女性特有の注意点も存在します。
基本はパンプスですが、オフィスカジュアルが許容される職場であれば、前述の通りローファーや、ごくシンプルなレザースニーカー(白や黒の無地でロゴが目立たないもの)が許容される場合もあります。
一方で、女性のビジネスシーンにおいて明確にNGとされる靴も存在します。これらを履いていると、本人の意図とは関係なく、マナー違反と見なされるリスクがあります。
女性のビジネスシーンでNGとされる靴
- オープントゥ・サンダル:つま先やかかとが出る靴は、メンズと同様にNGです。「だらしない」「リゾート感が強い」と見なされます。
- 素足での着用:ビジネスシーンでは、夏場であってもパンプスやローファーを素足で履くことはマナー違反とされます。必ず肌色に近いベージュのストッキングを着用するのが基本です。
- ミュール:かかとが固定されないミュール(つっかけタイプ)も不適切です。歩く際にカツカツと音が響きやすい、脱げやすい、といった理由から、ビジネスには向きません。
- ピンヒール・高すぎるヒール:あまりにヒールが高い靴(7cm以上が目安)や、細すぎるピンヒールは、華美な印象や威圧感を与えたり、歩行が不安定に見えたりするため、ビジネスには不向きです。安定感のあるミドルヒール(3~5cm)が推奨されます。
- カジュアルすぎる靴:装飾過多なもの(大きなビジューやリボン)、素材がカジュアルなもの(キャンバス地、デニム地)、ウェッジソール、ブーツ(秋冬の通勤時はOKでも、オフィス内ではパンプスなどに履き替えるのがベター)、派手なスニーカー。
どのような靴であれ、汚れがなく、ヒールがすり減っていない、手入れの行き届いた状態を保つことが大前提です。職場のドレスコードを今一度確認した上で、機能性とフォーマル感のバランスが取れた靴を選ぶことが、靴 女性が意識すべきマナーと言えます。
失敗しないスリッポン ビジネス マナー
この記事で解説してきた、スリッポンに関するビジネス マナーの要点を、失敗しないための最終チェックリストとしてまとめます。これらのポイントを押さえることで、TPOをわきまえた靴選びが可能になります。
- 伝統的なビジネスシーン(フォーマルな場、重要な商談)ではスリッポンは避け、紐付き革靴を選ぶ
- オフィスカジュアルやビジネスカジュアルが許可されている職場でのみ着用を検討する
- スリッポンの中でも、スニーカータイプやサンダル、エスパドリーユは厳禁
- メンズが選ぶならローファー(ビットローファー、タッセルローファー)が最適
- コインローファーは学生のイメージが強いため避けるのが無難
- モンクストラップシューズは紐なしだが、ビジネスシューズとして広く認められている
- 色は「黒」または「ダークブラウン」が基本
- 素材は「スムースレザー」を選ぶ(スエード素材はTPOを選ぶ)
- ソール(靴底)は薄手で、靴本体と同系色のものを選ぶ
- ローファーを履く際は、パンツの裾丈を短め(ノークッション)に合わせるとすっきり見える
- 夏場に素足風で履く場合は、必ずフットカバーを着用する
- 秋冬は靴下を見せる。色はパンツか靴の色に合わせ、無地のものを選ぶ
- ローファーを履く日は、服装の他のアイテム(シャツ、ジャケット、スラックス)で「きちんと感」を担保する
- 女性の場合も、シンプルなローファーはオフィスカジュアルで活用できる
- 女性はローファーやパンプスを素足で履かず、ストッキングを着用する
- 靴は常に清潔に保ち、汚れやソールのすり減りがないよう手入れを怠らない