
スリッポンは脱ぎ履きが楽でスタイリッシュに決まる、非常に便利な靴です。
しかし、「歩いているとすぐに脱げる」「かかとがパカパカ浮いてしまう」といった、スリッポンが脱げる悩みに関する対策を探している人も多いのではないでしょうか。
特にローファータイプでかかとが浮く問題や、ソールの重い厚底ローファーのかかとがパカパカする感覚は、歩きにくさに直結します。VANSやUGGのような人気ブランドのスリッポンを選んでも、サイズや足型が合わなければ脱げてしまうことがあります。
ローファーがパカパカする際にインソールで調整する方法も知られていますが、まずは根本的な原因の理解が大切です。スリッパやサンダルの脱げ防止策とは異なり、スリッポンには靴全体でのフィット感が求められます。
対策グッズとして、かかと用に100均、例えばセリアなどで手軽なパッドを探す方もいるでしょう。この記事では、スリッポンが脱げる原因から、すぐに試せる具体的な対策までを詳しく解説していきます。
スリッポンが脱げる原因と基本的な対策
- スリッポンの欠点は何ですか?
- 厚底ローファーのかかとが脱げる理由
- スリッポンがゆるい時の対処法は?
- かかとがパカパカする時の対処法は?
- 靴下が脱げないようにするには?
スリッポンの欠点は何ですか?

スリッポンの最大の欠点は、購入後にフィット感を微調整する機能がほとんどない点にあると考えられます。
スニーカーであれば靴紐を締め直すことで、足の甲や幅のフィット感を高めることが可能です。また、ストラップ付きのサンダルやパンプスも、バックルやマジックテープで足首や甲を固定できます。
しかし、スリッポンは基本的に甲部分のゴムや、靴自体の形状だけで足を支える構造になっています。
このため、購入時のサイズ選びが他のどの靴よりもシビアになります。例えば、朝に試着してぴったりだと思っても、夕方になって足がむくむときつく感じたり、逆にむくみが取れた状態ではゆるく感じたりすることがあります。
素材によるフィット感の変化
素材の問題も無視できません。スリッポンに多く使われる素材と、その特徴は以下の通りです。
- キャンバス地(布): 新品時は硬くても、履いているうちに足の形に合わせて柔らかく馴染みます。特に横幅が伸びやすい傾向があり、これが緩さの原因になることがあります。
- 合成皮革(合皮): 比較的形状が安定していますが、長期間の使用や屈曲の繰り返しで伸びたり、表面が劣化したりすることがあります。
- 天然皮革(本革): 履き込むほどに足に馴染み、理想的なフィット感が得られるとされますが、逆に言えば購入時よりも確実に緩くなります。
スリッポンの主な欠点(脱げやすさの要因)
- 靴紐やストラップがなく、購入後のフィット調整ができない。
- サイズ選びが非常にシビアで、少しでも大きいと脱げやすい。
- キャンバス地や本革など、素材が履くうちに伸びて緩くなりやすい。
- 甲が低い、かかとが細いといった足型の場合、構造的に隙間ができやすい。
もちろん、これらは「脱ぎ履きが圧倒的に楽」という最大のメリットと表裏一体の関係にあります。
甲が低い方や、かかと幅が狭い足型の方は、靴との間にどうしても隙間ができやすいため、この「調整機能のなさ」が脱げるという悩みとして現れやすいのです。
厚底ローファーのかかとが脱げる理由

厚底ローファーのかかとが特に脱げやすい主な理由は、靴底(ソール)が持つ「重さ」と「硬さ(屈曲性のなさ)」という2つの物理的な特性にあります。
一般的なスリッポンやローファーと比較して、厚底デザインはソール部分にボリュームがあり、デザイン性を高めると同時にかなりの重量が加わります。
さらに、ソールの厚みを維持し、プラットフォームとしての形状を保つため、ソール自体が非常に硬く、曲がりにくい構造になっていることが大半です。
この2点が、歩行時にかかとが脱げる現象を強力に引き起こします。
「重さ」と「硬さ」が歩行に与える影響
人は歩くとき、無意識に足裏をローリング(あおり運動)させています。かかとから着地し、足裏全体が地面に付き、最後につま先で地面を蹴り出すという一連の滑らかな動きです。このとき、足の指の付け根あたり(MP関節)が曲がることで、体は前に進みます。
しかし、ソールが重くて硬い厚底ローファーでは、この自然な動きが妨げられます。
- 足が曲がれない: 足が自然に曲がろうとしても、硬いソールがそれを許しません。
- テコの原理が働く: つま先が地面を蹴ろうとする力は、硬いソールを介して、テコの原理のようにかかと部分を持ち上げようとする力に変わります。
- 重さが追従しない: 同時に、靴本体の「重さ」が慣性によってその場に留まろうとし、足の動きに追従できません。
この結果、靴の縦のサイズ(長さ)が足にぴったり合っていたとしても、歩くたびに足と靴が分離し、かかとが「スポスポ」「パカパカ」と抜けてしまうのです。
▼通常のスリッポンと厚底スリッポンの比較
| 比較項目 | 通常のスリッポン | 厚底スリッポン |
| ソールの重さ | 軽い | 重い |
| ソールの屈曲性 | 曲がりやすい(柔軟) | 曲がりにくい(硬い) |
| 歩行時の足への追従性 | 高い | 低い |
| かかとが脱げる主な原因 | サイズ不一致、足型、素材の伸び | ソールの重さと硬さによるもの |
この問題への対策は、サイズを小さくすることでは解決しにくい場合があります。むしろ、かかとのホールド感を高める強力なパッドを使ったり、甲部分をタンパッドなどでしっかり固定し、靴の中で足が動かないようにすることが求められます。
スリッポンがゆるい時の対処法は?

スリッポンがゆるいと感じる場合、靴内部の隙間を物理的に埋めて、足と靴の一体感を高めるのが基本的な対処法です。
ゆるさの原因は、購入時のサイズが大きすぎた、ご自身の足の甲が低い・幅が狭い、あるいは長期間の着用で生地やゴムが伸びた、などが考えられます。
対処法はいくつかありますが、手軽に試せる順にご紹介します。
1. 厚手の靴下を履く
最も簡単で、すぐ試せる方法が、普段より厚手の靴下を履くことです。これにより物理的に足の体積が増え、靴の中の隙間を埋めることができます。特に、冬場の防寒対策も兼ねられるメリットがあります。
ただし、この方法には限界もあります。夏場には暑いですし、靴下の厚みだけで埋められる隙間の量にも限りがあります。
2. インソール(中敷き)で調整する
靴下での調整が難しい場合や、それでもゆるい場合は、インソール(中敷き)の使用を検討します。
- フルインソール(全体): 靴全体にインソールを敷くことで、靴の内部全体が底上げされます。足の位置が高くなることで、特に甲の部分のフィット感が高まり、足が靴の中で安定しやすくなります。クッション性が向上し、歩きやすくなるという副次的な効果も期待できます。 しかし、注意点として、足全体が持ち上がるため、逆につま先や甲がきつく感じる可能性もあります。また、かかと位置も高くなるため、元々かかとが浅いデザインのスリッポンだと、かえって脱げやすくなるリスクもはらんでいます。
- 部分インソール(ハーフ・つま先用): フルインソールで不具合が出た場合は、部分的なインソールを試します。つま先部分だけに入れるクッションや、土踏まずからつま先までをカバーするハーフインソールは、かかと位置を上げることなく、足が前に滑るのを防ぎます。これにより、かかと部分に余計な隙間ができるのを抑制できます。
ゆるさの原因がどこにあるのか(全体的なのか、前滑りによるものなのか)を見極め、適切なタイプのインソールを選ぶことが鍵となります。
かかとがパカパカする時の対処法は?

歩くたびにかかとがパカパカと浮いてしまう現象は、靴の中で足が動く「ゆるさ」とは少し異なり、かかと部分の「形状」が合っていないことに起因します。この対策には、かかと専用のパッド(ヒールパッド、かかとクッション)を使用するのが最も直接的で効果的です。
この問題は、靴のサイズ(長さ)や幅が合っていても、靴のかかと部分(ヒールカップ)の形状や大きさが、履く人のかかとの骨格と合っていないために発生します。
例えば、ご自身のかかとが細い(小さい)場合や、靴のヒールカップが広めに設計されている場合、かかと周りに隙間が残ってしまいます。この隙間が、歩行時にかかとが浮く「遊び」となり、パカパカするのです。
かかとパッドの選び方と使い方
かかとパッドは、靴の内側、かかとが当たる部分(ヒールカウンターの内側)に貼り付けて使用します。
- 効果: パッドの厚みによって隙間が物理的に埋められます。これにより、かかとが靴にしっかりと固定(ホールド)され、歩行時にかかとが浮き上がるのを防ぎます。
- 素材: 素材にはいくつかの種類があり、目的によって使い分けるのがおすすめです。
- スポンジタイプ: クッション性が高く、靴擦れの防止にも役立ちます。隙間をしっかり埋めたい場合に適しています。
- ジェル・シリコンタイプ: 透明で目立ちにくく、素材自体に粘着性があるため滑り止め効果が高いのが特徴です。ストッキングやタイツと合わせる際に有効です。
- 起毛素材(スエード調など): 靴下との摩擦を高め、滑りを抑える効果が期待できます。
- 調整: どの程度の隙間が空いているかに合わせて、パッドの厚みを選ぶことが調整の鍵となります。最初は薄手のものから試し、貼り付ける位置も微調整(少し上、少し下)してみるのが良いでしょう。まだ浮くようであれば厚手のものに変えるか、応急処置として絆創膏をかかとに直接重ね貼りして厚みを出す方法も、外出先でのトラブル回避には有効です。
靴下が脱げないようにするには?

スリッポンの中で靴下が脱げてしまう問題は、非常にストレスがかかります。この現象は、靴下自体の機能性と、靴内部の素材、そして靴のフィット感の3つの要因が絡み合って発生します。
歩行中に靴の中で足が前後に動く(=靴がゆるい)と、靴下と靴のライニング(内張り)、または足と靴下の間で強い摩擦が生じます。この摩擦が、かかと方向への「引きずり」となり、靴下が足から引き剥がされるように丸まっていき、最終的に脱げてしまうのです。
この問題への対策は、靴下側と靴側の両方からアプローチできます。
1. 靴下選びの見直し(靴下側の対策)
まず、今履いている靴下を見直すのが最も手軽です。
- 滑り止め付きソックスを選ぶ: 現在、多くのフットカバーやショートソックスのかかと内側部分に、透明なシリコンゴムの滑り止めが付いています。これが足のかかとに密着し、靴下がズレるのを強力に防ぎます。滑り止めが足裏にも付いているタイプは、靴内部での足全体の滑りを抑える効果も期待できます。
- 摩擦力の高い素材を選ぶ: 綿(コットン)や麻(リネン)など、天然繊維は化学繊維(ナイロン、ポリエステル)に比べて摩擦力が高い傾向があります。特に靴のライニングがツルツルした合皮やナイロン素材の場合、靴下を摩擦力の高い素材に変えるだけで改善することがあります。
- フィット感とリブの強さを確認する: 靴下自体が足のサイズに合っておらず緩い場合や、履き口のリブ(ゴム)が伸びてしまっていると、当然脱げやすくなります。足にしっかりフィットし、履き口のゴムが強力なものを選びましょう。
2. 靴のフィット感を高める(靴側の対策)
前述の通り、スリッポン自体のフィット感が緩いと、靴の中で足がより大きく動いてしまい、靴下も脱げやすくなります。
根本的な対策として、インソールやかかとパッドを用いて靴自体のフィット感を高めることが非常に有効です。靴の中で足がしっかりと固定されれば、余計な摩擦が減り、結果として靴下が脱げる現象も抑えることができます。
アイテム別スリッポンが脱げる時の対策
- ローファーのかかと対策。100均やセリアは?
- ローファーパカパカはインソールで対策
- VANSやUGGは脱げやすい?
- スリッパやサンダルの脱げ防止策
ローファーのかかと対策。100均やセリアは?

ローファータイプのかかと脱げ(パカパカ)対策として、100均(セリア、ダイソー、キャンドゥなど)で販売されているアイテムは、コストを抑えて手軽に試せる選択肢として非常に有効です。
これらの100円ショップでは、近年シューズケア用品のラインナップが充実しており、靴のサイズ調整やフィット感改善のための専用グッズが豊富に揃っています。
100均で揃う主な対策グッズ
- かかと用パッド(ヒールパッド、かかとクッション): ローファーのかかと対策として最も代表的なアイテムです。靴のかかとの内側に貼り付け、隙間を埋めてかかとを固定します。セリアやダイソーでは、クッション性のあるスポンジタイプや、目立ちにくい透明なジェルパッドなど、複数の種類が見つかります。
- つま先用クッション(インソール): 靴のつま先部分に詰めるタイプのクッションです。足が前に滑るのを防ぎ、結果的にかかと部分に隙間ができるのを抑制する効果が期待できます。サイズが全体的に少し大きい場合に有効です。
- インソール(中敷き): 靴全体に敷くタイプの中敷きも販売されています。ただし、前述の通り、ローファーの場合はかかとが浅くなるリスクがあるため、薄手のものを選ぶか、他のアイテムとの併用を前提に考えるのが良いでしょう。
100均アイテム活用のメリット・デメリット
メリット
- 低コスト: 1点110円(税込)で試せるため、失敗を恐れずに様々な種類をテストできる。
- 手軽さ: 店舗数が多いため、急なトラブルでも入手しやすい。
- お試しに最適: 自分の足や靴にどのタイプのパッドが合うかを見極めるのに適している。
デメリット
- 粘着力の弱さ: 靴専門店の商品に比べ粘着力が弱い場合があり、特に汗をかくと剥がれやすくなる。
- 耐久性の低さ: クッションがすぐにへたってしまう可能性がある。
- 調整の難しさ: 厚みや形状のバリエーションが限られ、微妙なフィット調整が難しい場合がある。
結論として、100均のアイテムは、本格的な対策を講じる前の「お試し」や、外出先での「応急処置」として非常に優秀です。
まずはこれらの手軽なアイテムから試してみて、ご自身の足と靴に合う対策の方向性を見つけるのが賢明な使い方と言えます。
ローファーパカパカはインソールで対策

ローファーがパカパカする場合、インソール(中敷き)を使って靴内部の隙間を調整することは、有効な対策の一つです。ただし、インソールの「種類」を間違えると、逆効果になる可能性もあるため注意が必要です。
パカパカする原因が、単にかかととヒールカップの形状が合わないことだけではなく、「靴のサイズが全体的にわずかに大きい」ことや、「ご自身の足の甲が低いために靴内部(特に甲周り)に隙間ができている」ことである場合、インソールはその隙間を埋める役割を果たします。
1. フルインソール(全体敷き)
靴全体に敷くフルインソールを入れると、足裏全体が底上げされます。
- 適しているケース: 靴の縦・横ともに全体的に大きく、甲の部分にも余裕がある場合。
- メリット: 足全体が持ち上がることで、特に甲の部分が靴にしっかりと当たるようになり、足が靴の中で前後に動くのを抑制し、フィット感を高めます。クッション性の向上も期待できます。
- 注意点: 最大の注意点は、かかと部分も一緒に底上げされてしまうことです。ローファーは元々かかとが浅めのデザインが多いため、インソールによって足のかかと位置が高くなると、ヒールカップの縁に乗り上げるような形になり、かえってかかとが浅くなって脱げやすくなってしまうケースがあります。
2. ハーフインソール(半敷き)
つま先から土踏まずあたりまでをカバーする、かかと部分がないインソールです。
- 適しているケース: つま先や幅は合っているが、甲が低くて足が前に滑り、結果かかとがパカパカする場合。
- メリット: フルインソールと違い、かかとの高さを変えずに甲周辺のフィット感を高めることができます。足が前に滑るのを防ぐため、かかと部分に適切な隙間が保たれ、パカパカを抑制できます。
3. タンパッド
インソールとは異なりますが、甲の部分(ベロの裏側)に直接貼り付けるクッションパッドです。
- 適しているケース: 足の甲が低い(薄い)ことが原因で、靴内部に上下の隙間ができている場合。
- メリット: 足幅やつま先、かかとの位置には一切影響を与えず、甲の部分だけをピンポイントで押さえることができます。これにより足を靴に強力に固定し、前滑りとそれに伴うかかと浮きを防ぎます。
▼インソールの種類別メリット・デメリット(ローファー対策時)
| 種類 | 適した症状 | メリット | デメリット・注意点 |
| フルインソール | 全体的に大きい | 全体のフィット感向上、クッション性UP | かかとが浅くなり、逆に脱げやすくなる危険性あり |
| ハーフインソール | 甲が低い、前滑りする | かかと位置を変えずに前滑りを防止 | つま先部分が(厚みの分だけ)きつく感じることがある |
| タンパッド | 甲が低い(薄い) | 甲を直接固定、足幅やかかとに影響しない | 甲が高い人には使えない、貼る位置の調整が必要 |
このように、ご自身のローファーがパカパカする原因がどこにあるのか(全体か、前滑りか、甲の低さか)を見極め、適切なアイテムを選択することが重要です。
VANSやUGGは脱げやすい?
VANS(バンズ)やUGG(アグ)のスリッポンが、他のブランドの製品と比較して特別脱げやすいわけではありません。
しかし、それぞれのブランドが持つ製品の特性や、それに伴うサイズ選びのポイントを理解していないと、結果的に「脱げやすい」と感じる状況に陥ることがあります。
VANS(バンズ)の場合
VANSの「クラシックスリッポン」や、紐を外してスリッポンとして履くこともある「オーセンティック」などは、アッパー(靴の甲部分)がキャンバス地でできているモデルが主流です。
- 特性(伸び): キャンバス地は、履き込むうちに足の形に合わせて柔らかく馴染み、特に横幅が伸びやすい特性があります。また、甲の両サイドにあるゴア(ゴム)部分も、着脱を繰り返すうちに徐々に伸縮性が失われ、伸びてくることがあります。
- 結果: 購入時にはジャストフィット、あるいは少しきついと感じるサイズを選んでも、履き慣れてくると生地やゴムが伸びて全体的に緩くなり、かかとが浮きやすくなることがあります。
- 対策: 生地が伸びることをある程度見越してサイズを選ぶ必要がありますが、最初から緩いサイズを選ぶのは禁物です。履き込んで緩くなった場合は、インソールを入れたり、厚手の靴下を履いたりして調整するのが基本的な対処法となります。
UGG(アグ)の場合
UGGの「Ansley(アンスレー)」や「Dakota(ダコタ)」に代表されるモカシンタイプ(スリッポン)は、内側に保温性の高いボア(天然の羊毛、ウールライニング)が敷き詰められているのが最大の特徴です。
- 特性(へたり): この内側のボアは、履いているうちに体重による圧迫や湿気によって、徐々に潰れて「へたって」きます。
- 結果: 購入時にはボアのボリュームで足全体が包まれ、ぴったりとしたフィット感を感じます。しかし、ボアがへたると靴内部にかなりの余裕(隙間)が生まれ、購入時とは比較にならないほど緩くなり、かかとが脱げやすくなるのです。
- 対策: このボアのへたりを考慮したサイズ選びが推奨されることが一般的です。例えば、「素足または薄手の靴下で履くことを前提にジャストサイズを選ぶ」といった方法です。へたって緩くなった後は、薄手のインソール(特にレザーインソールなど滑りにくいもの)を入れたり、逆に厚手の靴下を履いて隙間を埋めるのが対策となります。
両ブランドに共通して言えるのは、海外ブランドであるため、日本人の足型(甲高・幅広など)よりも細身のワイズ(足幅)で設計されている場合がある点です。ご自身の足型と靴の設計が根本的に合っていない場合も、脱げやすさの原因となり得ます。
スリッパやサンダルの脱げ防止策

スリッパやサンダルの脱げ防止策は、かかと全体を包み込む構造(ヒールカップ)を持つスリッポンとは、アプローチが根本的に異なります。これらの履物は、主に「甲部分のフィット感」と「足裏と靴底の摩擦力」の2点で足を支えているため、対策もこの2点に集中します。
その理由は、スリッパ、ミュール、スライドサンダルの多くが、かかとをホールドする構造が一切ないデザインであるためです。
バックストラップがあるサンダルでも、かかとを「包む」のではなく「引っ掛ける」だけの場合が多いため、スリッポンほどの固定力はありません。
対策1:甲部分のフィット感を高める
歩行時に足が前に飛び出したり、左右にズレたりするのを防ぐため、甲部分の固定が最も重要です。
- 調整機能の活用: 甲のベルト(ストラップ)がバックルやマジックテープで調整できるデザインのサンダルを選ぶのが最も確実です。ご自身の甲の高さに合わせてしっかりと固定しましょう。
- パッドでの調整: 調整機能がないデザインの場合、甲の内側にクッション材や「タンパッド」を貼り付けて隙間を埋め、フィット感を高めます。これにより、歩行時の衝撃で足が前に滑るのを防ぎます。
対策2:足裏の滑りを防ぐ
足裏が汗や皮脂、あるいは履いているストッキングなどで滑ると、簡単に脱げてしまいます。
- 滑り止めインソールの使用: 足裏が当たる部分(フットベッド)に、滑り止め効果のあるインソールを敷くのが有効です。特に透明なジェルタイプのインソールは目立ちにくく、サンダルにも使いやすいです。布タイプや起毛タイプのインソールは、汗を吸い取ると同時に摩擦力を高める効果が期待できます。
対策3:物理的に固定する
上記2点の対策でも脱げてしまう場合や、デザイン上調整が難しい場合は、物理的に固定するアイテムを使います。
- シューズバンド(シューズストラップ): パンプス脱げ対策にも使われるアイテムですが、サンダルやミュールにも応用できます。透明で目立たないシリコンバンドを甲の部分に巻いたり、足首と靴を固定したりすることで、歩行時の安定感が格段に向上します。最近ではデザイン性のあるバンドも多く、アクセサリー感覚で使うことも可能です。
また、スリッポン以上に「歩き方」も影響します。かかとから着地する大股の歩き方ではなく、歩幅を小さくし、すり足に近い感覚で歩くことを意識するだけでも、脱げにくさが変わることがあります。
総括:スリッポンが脱げる悩みの対策
スリッポンが脱げる原因は多岐にわたりますが、適切な対策を講じることで快適に履きこなせます。最後に、この記事で解説した「スリッポンが脱げる悩み」への対策ポイントをまとめます。
- スリッポンが脱げる主な原因はサイズが合っていないこと
- かかとの形状と靴のヒールカップが合わないと脱げやすい
- 生地の伸びや素材の滑りやすさも原因になる
- 厚底タイプはソールの重さと硬さで脱げやすい
- スリッポンの欠点は購入後にフィット感を調整できないこと
- ゆるい時の基本対策はインソールや厚手の靴下で隙間を埋めること
- かかとがパカパカする時はかかと専用パッドが最も効果的
- かかとパッドは100均(セリア・ダイソー)でも購入可能
- ローファーのパカパカ対策でインソールを使う際はかかとが浅くならないよう注意
- ハーフインソールやタンパッドの活用も有効
- 靴下の脱げ対策には滑り止め付きソックスを選ぶ
- VANSは生地が伸びて緩くなることがある
- UGGは内側のボアがへたると緩くなる
- スリッパやサンダルは甲のフィット感と滑り止めが対策の鍵
- 自分に合った対策を見つけてスリッポンを快適に履きこなしましょう