
夏のメンズコーデは、Tシャツに短パンといった軽装になりがちで、どこか物足りなさを感じてしまうことはありませんか。
足元もスニーカーやサンダルばかりで、マンネリ化している方も多いかもしれません。そこで注目したいのが、足元を品良く格上げしてくれるタッセルローファーです。
ただ、タッセルローファーと聞くと「おっさんぽく見えないか」「合わせ方が難しくてダサいと思われたらどうしよう」といった不安や、失敗して後悔したくないという気持ちがよぎるかもしれません。
また、ビジネスコーデには合うのか、定番のデニムとの相性はどうなのか、夏場は靴下を履くべきかなど、疑問は尽きないものです。
この記事では、そんな夏場のタッセルローファーに関するメンズコーデの悩みを全て解決します。
カジュアルコーデから、きれいめな着こなし、さらには冬シーズンの活用法まで、その万能性を徹底解説。レディースとは一線を画す、メンズならではの魅力を最大限に引き出すためのポイントをお伝えします。
この記事を読むことで、以下の点について理解が深まります。
押さえておきたい夏タッセルローファーメンズコーデの基本
- そもそもタッセルローファーとは?
- ダサいと思われないための着こなし原則
- これで解決!おっさん見えしないコーデのコツ
- 夏の定番カジュアルコーデをおしゃれに格上げ
- 王道のデニムと合わせる時のポイント
- 夏の着こなしは靴下をどうするべきか
そもそもタッセルローファーとは?

タッセルローファーは、靴の甲部分に「タッセル」と呼ばれる房飾りが付いたスリッポン形式の革靴を指します。この上品なデザインが、足元にエレガントさと華やかさを加えてくれるのが最大の魅力です。
その歴史は1948年まで遡ります。当時のハリウッド俳優ポール・ルーカスが英国で見つけた房飾り付きの靴を元に、より洗練されたデザインをアメリカの靴メーカーに依頼したことが始まりと言われています。
このとき製作を請け負ったのが、高名な革靴ブランド「Alden(オールデン)」であり、タッセルローファーが世に誕生した瞬間でした。
その後、アメリカントラッドの象徴である「ブルックスブラザーズ」が製品化したことで、東海岸の学生たちの間で大流行します。
彼らが社会人になってからも愛用したことから、次第に「弁護士の靴(Lawyer's Shoe)」という愛称で呼ばれるようになり、知的で品格のある靴としての地位を確立しました。
このように、タッセルローファーは単なる飾り付きの靴ではなく、歴史と権威性に裏打ちされたアイテムなのです。スーツからカジュアルまで幅広く対応できる汎用性の高さも、多くの男性に愛され続ける理由と考えられます。
代表的なタッセルローファーブランド
タッセルローファーを語る上で欠かせない、代表的なブランドとその特徴を以下の表にまとめました。ブランド選びの参考にしてください。
ブランド名 | 特徴 | 価格帯の目安 |
Alden (オールデン) | タッセルローファーの元祖。特にコードバン素材のモデルは、独特の光沢と耐久性で絶大な人気を誇る。クラシックで重厚な佇まいが魅力。 | 150,000円~ |
Crockett&Jones (クロケット&ジョーンズ) | 英国を代表する実力派ブランド。スマートで洗練された木型が多く、スタイリッシュな足元を演出。品質とデザイン性のバランスに優れる。 | 90,000円~ |
Church's (チャーチ) | 質実剛健な英国靴の代名詞。甲が浅く小ぶりなタッセルが特徴の「KEATS」は、上品な印象で、きれいめなスタイルとの相性が抜群。 | 130,000円~ |
G.H.BASS (ジーエイチバス) | ペニーローファーの元祖としても有名。アメリカらしい無骨なデザインと、比較的手に取りやすい価格帯が魅力で、入門編としてもおすすめ。 | 30,000円~ |
参考記事
ダサいと思われないための着こなし原則

タッセルローファーは非常に優れたアイテムですが、一歩間違えると「ダサい」という印象を与えかねない側面も持ち合わせています。しかし、いくつかの基本的な原則を押さえるだけで、その懸念は簡単に払拭できます。
最も大切なのは、サイズ感です。ローファーは紐で調節ができないため、サイズが緩いと歩くたびにかかとが浮いてしまい、非常にだらしなく見えます。購入の際は必ず試着し、かかとがしっかりとついてくるジャストサイズを選ぶことが鍵となります。
次に、合わせるパンツのシルエットと丈感が重要です。タッセルローファーの持つ上品さを活かすためには、パンツも細身ですっきりとしたテーパードシルエットや、ストレートシルエットのものを選ぶのが基本です。
丈は、くるぶしが見えるか見えないかくらいのアンクル丈(9分丈)にすると、足元に軽快な「抜け感」が生まれ、洗練された印象になります。
最後に、全体のコーディネートの系統を意識することも大切です。例えば、過度に装飾的なストリートファッションや、ラフすぎるアウトドアウェアと合わせるのは難しい場合があります。
タッセルローファーの持つ「きれいめ」な雰囲気を基準に、ジャケットやシャツ、スラックスといった品の良いアイテムと組み合わせることで、失敗のリスクは格段に減少します。
これで解決!おっさん見えしないコーデのコツ

タッセルローファーが「おっさんぽい」と感じられる原因は、主にコーディネート全体の重さや、時代に合わない着こなし方にあります。これを回避し、若々しくモダンな印象を与えるためのコツは、「抜け感」と「清潔感」の演出です。
まず、最も簡単に抜け感を出す方法は、素足履き(に見えるスタイル)です。もちろん衛生面を考慮し、くるぶし下で完全に隠れるフットカバー(インビジブルソックス)を着用するのが現代の常識です。
足首が露出することで、見た目に軽やかさが生まれ、暑い夏でも涼しげな印象を与えられます。
色選びも、おっさん見えを回避する上で重要な要素です。
定番のブラックも良いですが、夏であればブラウンやベージュ系のスエード素材などを選ぶと、より軽快で柔らかな雰囲気になります。特にブラウンスエードは肌馴染みが良く、素足履きとの相性も抜群です。
また、合わせるアイテムに清潔感を意識することも大切です。
例えば、シワひとつない白シャツや、センタープレスの入ったきれいめなパンツと組み合わせることで、ローファーの上品さが引き立ち、全体としてクリーンで洗練されたコーディネートが完成します。
逆に、よれたTシャツや色褪せたパンツと合わせると、途端に古臭い印象になってしまうため注意が必要です。
夏の定番カジュアルコーデをおしゃれに格上げ

夏のカジュアルスタイルは、Tシャツやポロシャツが主役となり、どうしてもシンプルで画一的になりがちです。ここで足元をスニーカーからタッセルローファーに変えるだけで、コーディネート全体がぐっと大人びて、おしゃれな印象に格上げされます。
例えば、無地の白Tシャツにベージュのチノパンというベーシックな組み合わせを考えてみましょう。
足元がスニーカーであればスポーティーで若々しい印象ですが、ここにダークブラウンのタッセルローファーを合わせるだけで、一気に上品で落ち着いた大人の休日スタイルへと変化します。
ローファーが持つドレッシーな要素が、シンプルな服装に程よい緊張感と品格を与えてくれるのです。
リネン素材のシャツとの相性も抜群です。リネン特有の清涼感と、タッセルローファーが持つエレガントさが融合し、リラックス感がありながらも品の良い、まさにイタリアの伊達男を彷彿とさせるような着こなしが完成します。
このように、タッセルローファーは夏の定番アイテムと組み合わせるだけで、いつものカジュアルコーデを「ただの楽な服装」から「計算されたおしゃれな装い」へと昇華させる力を持っています。
王道のデニムと合わせる時のポイント

タッセルローファーとデニムの組み合わせは、カジュアルときれいめを両立できる王道のスタイリングです。
ただし、どんなデニムでも合うわけではなく、いくつか押さえておくべきポイントがあります。
まず、デニムのシルエット選びが肝心です。ローファーのスマートな形状を活かすため、デニムもスリムフィットや、裾に向かって細くなるテーパードシルエットを選ぶのがおすすめです。
ワイドすぎるシルエットや、ルーズなバギーパンツなどは、足元とのバランスが取りにくく、野暮ったい印象になりがちです。
次に、デニムの色落ちやダメージ加工にも注意が必要です。激しく色落ちしたものや、大きなダメージが入ったクラッシュデニムは、ローファーの持つ上品な雰囲気とは相性が良くありません。
合わせるのであれば、濃紺のリジッドデニムや、ワンウォッシュ程度のクリーンな見た目のものを選ぶと、きれいめな印象を保ったままカジュアルダウンできます。
また、デニムの裾の処理も大切です。前述の通り、くるぶしが見えるくらいの丈で穿くのが基本ですが、ロールアップして丈を調整するのも有効なテクニックです。ロールアップすることで、足元にアクセントが生まれ、よりこなれた雰囲気を演出できます。
夏の着こなしは靴下をどうするべきか

夏のタッセルローファーの着こなしにおいて、多くの人が悩むのが靴下の問題です。これにはいくつかの選択肢があり、シーンや目指すスタイルによって使い分けるのが賢明です。
基本は「素足履き」スタイル
夏のカジュアルシーンにおいては、素足で履いているように見せるのが最もポピュラーで、推奨されるスタイルです。足首を露出させることで、コーディネートに「抜け感」が生まれ、涼しげで軽快な印象を与えることができます。
ただし、衛生面や靴へのダメージを考慮すると、素足で直接履くのは避けるべきです。完全に隠れるフットカバーやインビジブルソックスを着用するのが、現代のスマートな大人のマナーと言えます。
靴下を見せる場合の注意点
一方で、ビジネスシーンや、よりクラシックな着こなしを目指す場合には、靴下を履くのが適切です。
その際は、色選びが非常に重要になります。基本は、パンツの色と合わせるか、ローファーの色と合わせるかの2択です。これにより、脚と靴が分断されず、すっきりと脚が長く見える効果があります。
白の無地ソックスを合わせるのは、学生のような印象を与えやすいため、上級者以外は避けるのが無難です。
もし色で遊びたいのであれば、コーディネートで使っている他の色(例えばネクタイやチーフの色)を拾ったカラーソックスを選ぶと、統一感のあるおしゃれなスタイリングになります。
シーン別に見る夏タッセルローファーメンズコーデ術
- きれいめに決まるビジネスコーデの組み方
- 冬でも活躍するタッセルローファー活用術
- レディースとは違うメンズならではの魅力
- 参考になる海外のメンズコーデスナップ
- 明日から使える夏タッセルローファーメンズコーデのコツ
きれいめに決まるビジネスコーデの組み方

タッセルローファーは、ビジネスシーンにおいても非常に有効なアイテムです。ただし、国際的なドレスコードの基準ではローファーはカジュアルな靴に分類されるため、TPOをわきまえることが大切です。
例えば、重要な商談や式典など、厳格なフォーマルさが求められる場面では避けるのが賢明です。
一方で、クールビズやビジネスカジュアルが浸透している現代の職場環境では、タッセルローファーは紐靴にはない軽快さとおしゃれさを演出し、周囲と差をつけるのに役立ちます。
ジャケパンスタイルとの組み合わせ
ネイビージャケットにグレーのスラックスといった定番のジャケパンスタイルには、黒やダークブラウンのタッセルローファーが最適です。
プレーントゥやストレートチップの革靴を合わせるよりも、足元に程よい華やかさとこなれ感が生まれます。このときも、パンツの丈はくるぶし丈ですっきりと見せ、靴下はパンツの色に合わせたダークカラーを選ぶのがセオリーです。
スーツスタイルとの組み合わせ
スーツに合わせる場合は、より慎重な選択が求められます。チャコールグレーやネイビーといった落ち着いた色のスーツに、黒のスムースレザー製タッセルローファーを合わせると、シックな雰囲気を保ちつつ、足元をさりげなく華やかに演出できます。
アメリカのアイビースタイルに由来する着こなしであり、知的で洗練された印象を与えられるでしょう。ただし、これも職場や取引先の雰囲気を考慮した上で取り入れることが前提となります。
冬でも活躍するタッセルローファー活用術

タッセルローファーの魅力は、夏の軽快なスタイルだけに留まりません。素材や合わせるアイテムを工夫することで、冬のコーディネートにおいてもその真価を発揮します。
冬の着こなしでは、素材感が鍵となります。夏のイメージが強いスムースレザーに代わり、起毛感のあるスエード素材のタッセルローファーを選ぶと、見た目にも暖かみが生まれ、秋冬らしい季節感を演出できます。
色は、ダークブラウンやベージュ、ネイビーなどが、ウールやコーデュロイといった冬素材のパンツと好相性です。
合わせるパンツも、季節感を意識したものが良いでしょう。例えば、起毛感のあるフランネル素材のスラックスや、畝(うね)が特徴的なコーデュロイパンツと組み合わせると、ローファーのスエード素材と質感がマッチし、温かみのある統一感が生まれます。
また、冬は靴下を見せるコーディネートが基本となります。厚手のリブソックスや、アーガイル柄などのクラシックな柄物ソックスをのぞかせることで、足元にアクセントを加えつつ、防寒対策も両立できます。
コートやニットの色とソックスの色をリンクさせると、より高度でおしゃれな色使いが完成します。
レディースとは違うメンズならではの魅力

近年、レディースファッションにおいてもローファーは定番アイテムとして人気を博していますが、メンズのタッセルローファーには、それとは異なる独自の魅力と背景が存在します。
最大の魅力は、その歴史に裏打ちされた「権威性」と「クラシックな佇まい」です。前述の通り、「弁護士の靴」としてエリートたちに愛された歴史は、単なるファッションアイテムに留まらない、男性の知性やステータスを象徴するアイコンとしての側面を与えています。
また、AldenやCrockett&Jones、Church'sといった、世界に名だたる本格革靴ブランドが手掛けている点も大きな違いです。
これらのブランドが採用する伝統的な製法(グッドイヤーウェルト製法など)によって作られたタッセルローファーは、堅牢で履き込むほどに足に馴染み、長年にわたって愛用できる逸品となります。
ソール交換をしながら何十年も履き続けることができるのは、まさに男性の所有欲を満たす「一生モノ」と言えるでしょう。
デザイン面でも、メンズモデルは比較的重厚で、がっしりとしたフォルムのものが多く、足元に安定感と風格を与えてくれます。この骨太な存在感が、男性の力強いスタイリングを足元から支えるのです。
参考になる海外のメンズコーデスナップ

タッセルローファーの着こなしを学ぶ上で、海外のおしゃれな男性たちのスナップは非常に参考になります。
彼らのテクニックから、明日から使えるヒントを見つけてみましょう。
アレッサンドロ・スクアルツィ氏のこなれ感
ヴィンテージアイテムの達人として知られるアレッサンドロ・スクアルツィ氏は、タッセルローファーの素足履きスタイルの名手です。
彼は、肌馴染みの良いブラウンスエードのローファーを、洗いざらしの白パンツやリネンシャツと合わせ、リラックスしていながらも、この上なくエレガントな夏の装いを完成させます。
色褪せたミリタリージャケットに白パンツ、そして足元はタッセルローファーといった、武骨さと上品さを絶妙にミックスさせるスタイルは、ぜひ参考にしたいテクニックです。
「アズーロ・エ・マローネ」の実践

イタリアの男性が得意とする、ネイビー(アズーロ)とブラウン(マローネ)の組み合わせは、タッセルローファーコーデにおいても鉄板の色合わせです。
例えば、ネイビーのジャケットやパンツを主軸に、ブラウンのタッセルローファーを合わせるだけで、一気に洒脱で上品な印象になります。このとき、ベルトの色もローファーと合わせると、よりコーディネートの完成度が高まります。
これらのスナップからわかる共通点は、パンツの丈感へのこだわりと、全体の色のバランス感覚です。彼らは決して無理をせず、自分のスタイルの中に自然にタッセルローファーを取り入れています。
明日から使える夏のタッセルローファーメンズコーデのコツ
この記事で解説してきた、夏のタッセルローファーをおしゃれに履きこなすための重要なポイントを、明日からすぐに実践できるよう、以下にまとめます。
- タッセルローファーは房飾りが特徴のエレガントな革靴
- 元々はAldenが製造し「弁護士の靴」とも呼ばれる歴史を持つ
- ダサ見え回避の第一歩はジャストサイズの選択から
- サイズが緩いと歩き方がだらしなく見えるため注意が必要
- パンツはくるぶし丈ですっきり見せることが基本
- おっさんぽく見せない鍵は「抜け感」と「清潔感」
- 夏のカジュアルコーデには素足履き(フットカバー使用)が最適
- Tシャツやポロシャツに合わせるだけで品良く格上げされる
- デニムと合わせる際は細身でクリーンなデザインを選ぶ
- ビジネスシーンではダークカラーの表革モデルが推奨される
- スーツに合わせる際はTPOを慎重に判断することが大切
- ブラウン系のスエード素材は夏らしく軽快な印象を与える
- 靴下を見せる場合はパンツか靴の色と合わせるのがセオリー
- スエード素材を選べば冬のコーディネートにも活用できる
- 海外スナップを参考に色使いやサイズ感を学ぶのも有効